【第103回】【教育ローン】親権者以外でも契約できる?学生本人が契約する場合の条件とは
教育ローンを利用したいと思う方の中には、学生本人もいるかもしれません。 今回は、教育ローンは親権者以外でも契約できるのか。できるなら、どのような条件を満たす必要があるのかについて解説します。
この記事は約10分で読むことができます。
お急ぎの方、教育ローンのランキングを知りたい方は、このページ下部のこちらをご覧ください。
1. 教育ローンは親権者以外の名義で利用できる場合がある
教育ローンは、親が借りるものだと思われがちですが、両親以外の親族の名義で申込める商品や、学生本人が申込める商品もあります。
ただ、親族の名義で申込む場合は、なぜ両親ではなく親族が申込むのか、その理由を聞かれることがありますので、理由をきちんと答えられるようにしておきましょう。
2. 学生本人が教育ローンを利用するための条件とは
では、学生本人が教育ローンを利用するためにはどのような条件を満たす必要があるのでしょうか。
ここでは、学生本人が教育ローンを利用するための条件について解説します。
2-1 条件1:所定の年齢に到達している
まず、金融機関の申込条件に記載されている所定の年齢に到達している必要があります。
多くの金融機関は成人していることを要件としています。2022年から成人年齢が18歳に引き下げられていますが、ローンの申込条件においては、申込時もしくは借入時に満20歳以上であることを条件とする金融機関が多いです。
学生本人が教育ローンを利用する場合、利用しようとしている金融機関の申込条件に記載されている年齢要件を満たしているかを確認するようにしましょう。
2-2 条件2:学生本人に安定した収入がある
金融機関としてもお金を融資する以上、利息を加えて返済してもらわなければなりません。そのために、継続かつ安定した収入があることを条件としている金融機関がほとんどです。
そのため、働いて収入がなければ申込むことはできません。
正社員ではなく、パートやアルバイトで継続して安定した収入があるなら申込める教育ローンもあります。
ただ、現在働いており、これから進学する場合は、学業に専念する必要があることから、今よりも収入が下がる可能性があると判断される場合もあります。働きながら勉強する場合は、学業と仕事が両立できる状態を確保しておくことを心がけましょう。
2-3 条件3:親権者などの扶養に入っていない
教育ローンに限らず、どのローンでも申込者に返済能力があるかどうかを審査します。そのめ、学生本人が申込む場合には、申込者である学生本人が経済的にも自立していなければなりません。
仮に、親もしくは親権者の扶養に入っており、仕送りをもらっているようなケースだと、経済的に自立しているとはみなされないため、申込むことは難しいでしょう。
経済的に自立しているとみなされるには、きちんと働いており、収入が得られていると認められる必要があります。
3. 条件を満たしていても審査に通らないと教育ローンは利用できない
申込条件を満たしており、申込んだとしても、審査に通らなければ教育ローンは利用できません。
ここでは、教育ローンの審査における主な審査基準について紹介します。
3-1 主な審査基準の例1:収入の安定性
一番に挙げられるのが、安定した収入があるかどうかです。金融機関としては、毎月決まった金額を返済してくれるだけの返済能力があるかどうかを審査します。
そのため、年収が低い場合や毎月の収入に波があるなど安定していない場合は、審査に落ちる可能性が高くなります。毎月決まった給与所得がある方と自営業者を比較すると、自営業者が審査に不利になりがちなのはそのためです。
また、毎月一定金額の収入があるとしても、年金収入だけの場合は申込条件を満たさないケースもありますので注意しておきましょう。
3-2 主な審査基準の例2:信用情報
ローンの申込みがあった際、金融機関は必ず日本に3つある信用情報機関に照会をかけます。そのときに信用事故情報が登録されていた場合、審査に通るのは難しいと考えておきましょう。
信用事故情報とは、延滞や債務整理などの情報のことで、一定期間登録されます。そのため、これまでに延滞や債務整理を起こしたことがある場合は審査に通らない可能性があります。
自分の信用情報がどうなっているか不安に感じるなら、信用情報機関に向けて情報開示請求を行うことをおすすめします。請求は原則として本人が行う必要がありますが、インターネットで手続きができ、その日のうちに結果が分かるケースもあります。
手数料も1,000円程度ですので、不安ならまず情報開示請求を行い、その結果、信用事故情報が登録されている場合は登録期間が過ぎるまでローンの申込みは控えるようにしましょう。
3-3 主な審査基準の例3:他社の借入状況
教育ローンを申込む際に、他社からの借り入れがある場合は注意が必要です。特に複数社から借り入れているなど、借入件数が多く、また借入金額も大きい場合、金融機関側も「これ以上借りて返済できるのか」と考えます。
返済能力を判断するために「返済負担率」を用いることもあります。返済負担率とは、年収に対する年間の返済合計額が占める割合のことで、返済負担率が30%を超えると返済が困難な状態になりやすいといわれています。
もし、教育ローンを申込むときに他社からの借り入れがあるなら、できるだけ返済を進めておきましょう。
3-4 主な審査基準の例4:勤務形態など
教育ローンの審査においては、勤務形態もチェックされます。具体的には、勤務先や勤務形態、勤続年数などです。
大企業であるほど、倒産する確率が低く、安定した収入が得られると判断されますし、勤続年数が長ければ今後も継続して勤務するだろうと判断されやすくなります。
また、正社員の方がパートやアルバイトよりも継続して雇用されるとみなされるため、審査に有利に働きます。
ただし、正社員でも転職した直後だと、また転職を繰り返すのではないかと判断されるケースもあるため、注意しておきましょう。
4. 親権者以外の名義で教育ローンに申込む流れとは
親権者以外の名義で教育ローンに申込む流れは、通常の親権者が申込む流れと同じです。
ここでは、教育ローンの資金使途として対象となる費用や、申込みに必要な書類と合わせ、教育ローンの手続きの流れについて解説します。
4-1 対象となる費用
教育ローンの対象となる費用は、一般的に学校に納付する入学金や授業料が主ですが、金融機関によっては、学校に納付する費用以外にも以下のものが対象になります。
- 教科書代や参考書代などの教材費
- 自宅から学校に通う通学費用や、制服がある場合の制服代
- 受験に関する費用(受験料や受験のための交通費や宿泊代)
- 自宅外通学の場合の下宿費用(敷金や礼金も含む)
- 仕送り代
金融機関によって対象となる費用は異なりますので、申込前に必ず確認しておきましょう。
4-2 申込みに必要な書類
申込みに必要な書類は大きく分けて本人確認書類、収入証明書類、資金使途確認書類です。具体的には、以下のものが挙げられます。
- 本人確認書類(運転免許証、パスポート、健康保険証、マイナンバーカードなど)
- 収入証明書類(源泉徴収票、課税証明書、住民税決定通知書、確定申告書の写しなど)
- 資金使途確認書類(学校が発行する納付通知書、教育機関に支払ったことが分かる領収書や通帳のコピーなど)
本人確認資料については、金融機関によっては、運転免許証などのほかに世帯全員が記載されている住民票の写しを求めるところもあります。
また、資金使途確認書類については、申込前に支払ったものも対象になることがあります。対象となる期間は申込前3ヶ月や2ヶ月など金融機関によって異なります。そのため、入学前にかかった受験料などの費用については、領収書や振込明細など、支払った証明になるものを必ず残しておくようにしましょう。
4-3 一般的な手続きの流れ
教育ローンの手続きは、以下の流れで進みます。一般的なローンと同様に、申込みから審査を経て融資実行となりますが、それらの詳細は以下のとおりです。
1.必要情報を入力して申込む
最近ではどの金融機関もインターネットでの申込みを受け付けていますが、それ以外にも店舗窓口や郵送、FAXなどの申込方法があります。
インターネットだと、店舗窓口が開いていない夜間や休日でも申込めますので、平日の昼間に時間がとりにくい方におすすめです。
2.仮審査が行われる
必要事項を入力して申込んだら、仮審査が行われます。仮審査の期間は比較的短く、民間の金融機関なら、申込んだその日~3営業日までに通知されるケースが多いです。
3.本審査が行われ、契約を締結する
仮審査に通過したら、本審査に進みます。本審査では提出書類の内容を基に、より詳しい審査が行われ、最終的な融資金額が決定します。
融資金額に納得すれば、その後は契約手続きに移行します。契約手続きの際には来店が必要な金融機関が多いため、印鑑など契約に必要なものを持参して手続きを行いましょう。
4.融資を受ける
最終的に契約内容に問題がないと判断されれば、契約書に記載された融資金額が指定した口座に振り込まれます。
学校に支払う納付金については、金融機関が直接学校に振り込むケースもあります。
5. 教育ローンの審査に通らない場合の対処方法とは
教育ローンに申込んだとしても、必ずしも審査に通るとは限りません。
ここでは、教育ローンの審査に通らない場合の対処方法をいくつか紹介します。
5-1 審査に落ちている理由を考える
教育ローンの審査に落ちたとしても、金融機関は落ちた理由を教えてくれません。そのため、審査に不利になるような要因がなかったかどうかを考える必要があります。要因として考えられる代表的な例に、以下のものがあります。
- 申込者が経済的に自立していない(収入が少なく、不安定。もしくは親権者の扶養に入っているなど)
- 他社からの借り入れが多い
審査で重視されるのは、申込者の返済能力です。そのためにも、申込者に安定かつ継続した収入があることが求められます。
また、他社からの借り入れが多いと新たな借り入れを行うことで返済負担率が高まり、返済が困難になる状況が懸念されるため、審査に不利になります。
もし、これらの要因に当てはまるなら、要因を解消してから申込むようにしましょう。
5-2 カードローンの利用を考える
教育資金の捻出方法は教育ローンだけではありません。カードローンを利用することで、資金を調達できる可能性があります。
カードローンは原則として資金使途が自由なため、教育資金以外の費用も借り入れたいと思っている方にはおすすめです。ただし、適用される利息が高いため、利用するなら小額を借り入れ、できるだけ早く返済することを心がけましょう。
基本的にカードローンの返済額は借り入れた額によって決まり、毎月返済していくことになりますが、毎月の返済だけでなく随時返済を行うことでより早く返済でき、利息負担も抑えられます。
5-3 奨学金の利用も一つの方法
教育ローンを利用できないなら、奨学金の利用も考えてみましょう。
奨学金は学生本人が借り入れ、卒業後に返済する仕組みですが、日本学生支援機構が行っている奨学金以外にも学校独自で行っている奨学金制度もあります。
5-3-1 奨学金とは
奨学金には、返還不要の給付型と、卒業後に返還が必要な貸与型があります。また、貸与型でも、無利子で借りられるものと有利子のものがあり、併用も可能です。
奨学金は教育ローンよりも金利が低く、学生本人が申込む仕組みですが、申込時期が限定されているため、事前に申込時期を確認しておきましょう。
また、奨学金は国の教育ローンとの併用も可能です。国の教育ローンも所得制限があるものの低金利で借りられますので、条件を満たすなら合わせて申込みましょう。
国の教育ローンは奨学金とは異なり、いつでも申込めます。
5-3-2 教育ローンとの違い
以下に教育ローンと奨学金の違いを表にしておきますので、参考にしてください。
教育ローン | 奨学金 | |
---|---|---|
申込者 | 学生の保護者 | 学生本人 |
借入方法 | 一括もしくは随時 | 毎月決まった額が振り込まれる |
借入可能額 | 金融機関によって異なる | 利用する奨学金制度によって異なる |
審査基準 | 安定した収入があること | 所得が定められた上限以下であること 学力基準を満たすこと |
返済方法 | 原則として借り入れた翌月から返済開始 | 卒業後に返済開始 |
教育ローンの借入方法には、一括借り入れてその後返済を行う証書貸付型と、随時必要な額を借り入れて返済を行うカードローン型があります。また、多くの金融機関で、在学中は利息のみの返済とする据置期間を設けています。
奨学金は、修業の意欲があるにもかかわらず、経済的な理由によって進学を諦めるようなことを防ぐ目的で設けられているため、所得制限や学力基準などの条件を満たさなければなりません。
6. 教育ローンは親権者以外の名義でも利用可能
教育ローンは親権者以外でも申込めます。ただし、利用するには審査に通る必要があり、原則として安定した収入がなければなりません。
また、他社からの借り入れが多かったり、過去に信用事故を起こしたりしている場合は審査に通らない可能性がありますので、その場合は奨学金などほかの制度の利用も考えましょう。
教育ローンは、提供する金融機関によって申込条件や借入可能額が異なるほか、資金使途にも違いが見られます。
そのため、教育ローンを申込む際には、複数の教育ローンを比較することが大切です。教育ローンの探し方が分からないときには、一括比較サイトなどの活用をおすすめします。
Q & A
- 教育ローンとは?
- 教育ローンとは、教育に関連する費用を借り入れるためのローンです。そのため、教育関連費用以外の目的では利用できません。教育ローンには、国の教育ローンと民間の金融機関が提供する教育ローンがあり、国の教育ローンの方が低金利で借りられます。ただし、所得の上限などが設けられています。
- 教育ローンは親権者以外の名義で借りられる?
- 教育ローンは親権者以外の名義でも借りられます。ただし、安定した収入があることが要件です。金融機関によっては、親権者以外の親族が申込む際、理由を求めるところもあります。
- 学生本人の名義で教育ローンを利用する場合の条件とは?
- 学生本人が教育ローンに申込む場合、経済的に自立していることが求められます。そのためには、働いて収入を得ている必要があります。また、成人していることも条件ですが、多くの金融機関では申込時もしくは借入時の年齢を20歳としています。
- 教育ローンの主な審査基準は?
- 教育ローンに限らず、ローンを利用する際には返済能力があるかどうかを審査します。収入が高く、安定した収入があるほど審査に有利になります。また、他社からの借り入れがあるかどうかや、信用情報に問題がないかなども合わせて審査されます。
- 審査に落ちる理由とは?
- 収入が低い、もしくは安定した収入がない場合は審査に落ちる可能性が高くなります。合わせて他社からの借り入れが多いと、返済負担率が上がるため、希望する借入額まで借りられない可能性もあります。また、信用情報機関に事故情報が載っている間は、審査に通ることは難しいと思っておきましょう。
- 教育ローンと奨学金の違いとは?
- 教育ローンは原則として保護者が申込むのに対し、奨学金は学生本人が申込む点が異なります。また、奨学金は支援制度の一部ですので、所得の上限が決められているほか、学生本人の学力基準を満たす必要があります。
- 金利ランキング
ライター紹介
- 氏名
- 新井 智美(あらい ともみ)
- 保有資格
- ファイナンシャルプランナー(CFP®)、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員
- 主なキャリア
- コンサルタントとして個人向け相談(資産運用・保険診断・税金相談・相続対策・家計診断・ローン・住宅購入のアドバイス)を行う他、資産運用など上記相談内容にまつわるセミナー講師(企業向け・サークル、団体向け)を行うと同時に金融メディアへの執筆及び監修も行い、現在年間200本以上の執筆及び監修をこなしている。これまでの執筆及び監修実績 は1,500本以上。
関連記事
人気記事
当サイトについて
カードローン+(プラス)(以下、当サイト)は株式会社コネクトムにより運営・管理されています。
当サイトはカードローンをはじめとする各種ローン商品などに関する情報の提供を目的としており、ローンの申込み、及び契約締結の代理、媒介、斡旋などを行うものではありません。
掲載情報について
当サイトに掲載されている融資の審査に関する内容につきましては、特定の金融機関がお申込みされたお客様に対して独自に行うものであり、当社は審査の過程および結果については一切関与しておりません。また、特定の金融機関の審査への適合性、正確性、完全性について保証するものではありません。融資の審査に関する情報などに基づいて被ったいかなる損害についても、当社は一切の責任を負いません。ローンの申込み、及び契約締結に関するすべての決定は、ご自身の判断で行うようお願いいたします。
融資の審査に関する情報や、金利、借入条件、キャンペーンなどの詳細については、金融機関から直接提供される正確かつ最新の情報を必ずご確認ください。
なお、当サイトに掲載されている情報は無断転載、無断使用を固く禁じます。