【第87回】歯列矯正は医療ローン(デンタルローン)を使える?メリット・デメリットを解説
医療費が高額になる場合は、医療ローンを利用することで手元にまとまった資金がなくても保険適用外の治療を受けられます。
本記事では、医療ローンを使って歯列矯正を受けようか迷っている方に向け、医療ローンの概要や支払方法ごとのメリット・デメリットについて解説します。合わせておすすめの医療ローンもご紹介しますので、お役立てください。
この記事は約8分45秒で読むことができます。
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1. 歯列矯正に使える医療ローンとは
歯列矯正を行う際に利用できる医療ローンとは、銀行や消費者金融が提供している資金使途を医療費の支払いに限定しているローンです。
このほか、歯科治療費専用の「デンタルローン」もあります。デンタルローンとは、歯科の治療費の支払いに特化したローンのことで、ローン会社が治療費をローン利用者に代わって歯科医院に支払い、利用者はローン会社に返済する仕組みです。
医療ローンそしてデンタルローンどちらもローン商品ですので、返済の際には元本と利息を合わせて返済しなければなりません。
2. そもそも歯列矯正の費用はどれくらいなのか
歯列矯正は高額な費用がかかるイメージがありますが、実際にどのくらいかかるのでしょうか。診察や治療の項目ごとにまとめてみましたので参考にしてください。
ここで紹介する費用はあくまでも目安です。最終的な費用は医療機関によって異なります。
2-1 相談・初診費用
最初の診察では、矯正相談を受けられます。相談では、簡単な治療説明や治療方法を説明してもらい、そのうえで自分には歯列矯正が必要か、またどのような治療方法になるのかなど気になる点を相談します。
費用の目安は医療機関にもよりますが、無料~5,000円ほどです。
2-2 検査・診断費用
実際に歯列矯正を行う場合は、まずどのような治療が必要かを調べるための検査や診断がなされます。検査では主にレントゲン撮影や口の中の写真を撮ったり、歯形を取ったりすることが多いです。
そして検査の後、歯列矯正の専門医が診断を行い、治療計画をたてます。
ここでの費用の目安は、1万円~6万円ほどです。
2-3 矯正費用
治療計画にそって矯正治療を始めていきます。治療方法は主に、表側のワイヤー矯正か裏側ワイヤー矯正、もしくはマウスピースを用いた方法で行われ、実際にかかる費用は治療方法によって異なります。
費用の目安は以下のとおりです。
治療方法 | 費用の目安 |
---|---|
表側ワイヤー矯正 | 70万円~105万円 |
裏側ワイヤー矯正 | 100万円~150万円 |
マウスピース矯正 | 70万円~110万円 |
2-4 矯正中にかかる治療費
歯列矯正はワイヤー矯正もしくはマウスピース矯正を行ったら終わりではありません。ワイヤーなどの矯正装置は長期間装着しておくものですので、定期的に通院し、矯正装置の調整や管理、歯のチェックを行います。
費用の目安は医療機関によって異なりますが、1回につき5,000円から1万円前後と考えておきましょう。
2-5 矯正装置を外した後にかかる保定装置費用
矯正装置を外した後は、歯並びが元の状態に戻らないための「保定」という装置を使います。その装置にも費用がかかり、およそ5,000円から数万円です。
3. 健康保険が適用される歯列矯正とは
歯列矯正は基本的に健康保険適用外の自由診療です。そのため、かかった医療費は全額自己負担になります。健康保険が適用される治療であれば、年代や収入によって決められた自己負担割合が適用されます。現役世代なら3割負担ですので、かかった医療費の3割を窓口で支払えばいいのです。
ただ、中には健康保険が適用される歯列矯正もあります。ここではどのような場合に健康保険が適用されるのか解説します。
3-1 ケース1:先天的な噛み合わせ異常
まず、生まれつきの病気で噛み合わせの異常が起き、かつ歯科医師が診断したうえで「矯正治療が必要である」と判断した場合は、健康保険の適用対象になります。
該当する疾患には、「唇顎口蓋裂」「ダウン症候群」「顔面裂」「軟骨形成不全症」など、61種類があります。
(参考:矯正歯科治療が保険診療の適用になる場合とは:https://www.jos.gr.jp/facility)
3-2 ケース2:顎関節症などの病気
また、顎や骨の形、大きさの異常を原因とした噛み合わせの問題が発生している場合や、顔の形に対して顎の変形が目立つ場合などにより、歯科医師から「顎変型症」であるとの診断を受けた際には健康保険の対象になります。
ただ、健康保険の適用を受けて歯列矯正を行うためには、国が認定した指定の医療機関で治療を受けなければなりません。どの歯科医院でも矯正治療を受けられるわけではありませんので注意してください。
4. 歯列矯正にかかる費用の支払方法とは
歯列矯正にかかる費用の目安が把握できたところで、費用の支払方法としてどのようなものがあるのかについて解説します。
4-1 無利子・医療費控除が利用できる「一括払い」
現金でまとめて支払う方法で、ある程度の余剰資金があり、高額な費用が準備できる方におすすめの支払方法です。カードやローンを利用した際の利息や手数料を気にしなくてもいいため、支払った額が分かりやすいというメリットがあります。また、確定申告のときには医療費控除の対象になりますので、節税効果も期待ができます。
4-2 ポイントが貯まる「クレジット払い」
クレジットカードで支払うこともできます。支払方法は一括払いでもいいですし、分割払いを選んでもいいでしょう。普段クレジットカードを使って支払うことが多い人に向いている支払方法です。
分割払いは3回以上に分けて支払う方法ですが、手数料が発生する点に注意しましょう。
クレジットカードで支払うことによって、クレジットカードのポイントが貯まる点がメリットですが、医療機関によってはクレジットカードでの支払いに対応していないところもあります。事前にクレジットカードでの支払いが可能か確認しておきましょう。
4-3 学生でも利用しやすい「分割払い」
歯列矯正を行う歯科医院によっては、歯列矯正の費用を分割払いできるところもあります。病院が独自に行っている方法で「院内分割払い」といわれることもあります。
院内分割払いを利用するメリットは、クレジットカードの分割払いと異なり、手数料がかからない点です。
クレジットカードの審査に通らない学生におすすめの支払方法です。ただし、病院によって対応しているところとしていないところがあることや、支払期間や金額によっては医療費控除の対象にならない可能性がある点に注意しましょう。
4-4 毎月の支払額を抑えやすい「医療ローン」
医療ローンを利用して歯列矯正にかかった費用を支払う方法です。クレジットカードの分割払いやほかのローンを利用するよりも金利が低く設定されているため、毎月の返済額をできるだけ抑えたいと考える方に向いています。
ただ、返済期間が長ければ長いほど、金利負担も大きくなります。金利負担がどのくらいになるのかも含めて毎月の返済額そして返済期間を決めるようにしましょう。
5. おすすめの医療ローン3選
この章では、医療ローンの利用を考えている方に向け、おすすめの医療ローンを紹介します。
5-1 千葉銀行「ちばぎん医療ローン」
申込める方が千葉銀行の営業エリアに居住しているか勤務している方に限られますが、出産費用や治療費用などさまざまな医療費の支払いに利用できます。
ただし、安定して継続した収入があることが条件となっているため、パート・アルバイト・年金収入のみの方は利用できません。仮審査の申込みは電話でも受け付けており、土日祝日でも相談できるため、平日に時間が取れない方にもおすすめです。
借入金額 | 10万円以上500万円以内 |
---|---|
金利 | 年5.00%~5.40%(変動金利) |
担保・保証人 | 不要 |
申込条件 | 以下の条件を満たす個人 ・融資時の年齢が満18歳以上満65歳未満で、最終約定返済時に満70歳未満 ・安定、継続した収入があること(パート・アルバイト・年金収入のみの方は利用不可) ・居住地および勤務先が千葉銀行の営業エリアにある |
申込方法 | ・インターネット ・店舗窓口 |
返済期間 | 最長10年 |
必要書類 | ・本人確認書類(運転免許証の写しなど) ・勤続年収確認書類(健康保険証・開業届の写しなど) ・所得証明書類(源泉徴収票・確定申告書の写しなど) ・資金使途および所要金額を確認できる書面の写し ・銀行届出印 |
5-2 筑波銀行「つくばメディカルローン」
一般医療費プランとがん先進医療費プランが用意されており、がん先進医療費プランのほうが金利は低く設定されています。また、がん先進医療費プランを利用する場合は、茨城県との協定により、県から利子補給金が交付されます。
利用できるエリアが茨城県をはじめその周辺地域に限られていますが、利子補給金が交付される点は注目したいポイントです。
借入金額 | 10万円以上300万円以内 |
---|---|
金利 | 一般医療費:3.50%、がん先進医療費:3.00%(いずれも変動金利) |
担保・保証人 | 不要 |
申込条件 | 以下の条件を全て満たす人 ・申込時の年齢が満18歳以上65歳以下で、完済時年齢が満70歳以下 ・医療にかかる費用を利用する本人またはその親族 ・安定、継続した収入が見込める ・過去に信用情報事故を起こしておらず、特定の保証会社の保証が受けられる |
申込方法 | 店舗窓口 |
返済期間 | 最長7年 |
必要書類 | (一般医療費プランの場合) ・所得確認資料(融資金額が100万円を超えるとき) 源泉徴収票・納税証明書など ・本人確認資料:住民票や戸籍謄本 ・資金使途確認資料:パンフレットなど |
5-3 常陽銀行「医療介護ローン」
「茨城県がん先進医療費利子補給金助成事業」制度を利用する方に向けた医療ローンで、利用エリアが限られるものの、年金受給者や産休、育休、介護休暇取得者(予定者、復帰後1年未満含む)も利用できるため、該当する方は候補に入れてみてはいかがでしょうか。
借入金額 | 300万円以内 |
---|---|
金利 | 年3.0%(変動金利) |
担保・保証人 | 不要 |
申込条件 | 「茨城県がん先進医療費利子補給金助成事業」制度を利用する以下の方 ・申込時の年齢が満18歳以上65歳未満で、最終返済時71歳未満 ・同一勤務先に1年以上勤務している、もしくは同一事業を3年以上営業している ・勤務地もしくは居住地が常陽銀行の営業エリアにある ・前年の税込年収が200万円以上で、安定継続した収入が見込める ・特定の保証会社の保証が受けられる |
申込方法 | 店舗窓口 |
返済期間 | 最長7年 |
必要書類 | ・本人確認書類(運転免許証・健康保険証のいずれか) ・年収確認書類(源泉徴収票もしくは公的証明書など) ・資金使途確認資料(見積もり書) ・融資金額の振込先が確認できる資料 |
まとめ 医療ローンで歯列矯正を受ける場合は、一括比較サイトでまとめて比較するのがおすすめ
歯列矯正の費用は医療ローンをはじめ、さまざまな方法で支払えます。その中で医療ローンを利用する場合は、一括比較サイトなどを活用して金利や返済期間などの情報をしっかりと比較し、自分にあった医療ローンを選ぶことが大切です。
歯列矯正は長期間にわたる治療で費用も高額になる傾向がありますので、利用する医療ローンはじっくりと検討し、納得して利用できる医療ローンを見つけるようにしましょう。
- 金利ランキング
ライター紹介
- 氏名:
- 新井智美
- 保有資格:
- ファイナンシャルプランナー(CFP®)、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員
- 主なキャリア:
- コンサルタントとして個人向け相談(資産運用・保険診断・税金相談・相続対策・家計診断・ローン・住宅購入のアドバイス)を行う他、資産運用など上記相談内容にまつわるセミナー講師(企業向け・サークル、団体向け)を行うと同時に金融メディアへの執筆及び監修も行い、現在年間200本以上の執筆及び監修をこなしている。これまでの執筆及び監修実績 は1,500本以上。
その他のローンに関するよくある質問
ここからはその他のローンについてよくある質問について、その回答と合わせて紹介します。
- その他のローンの活用方法は?
- カードローンプラスでは、銀行や信販会社などの金融機関が提供をしている冠婚葬祭・医療・介護・旅行・不動産投資などに利用ができるローンを「その他のローン」として分類しています。様々な種類がありますが、資金使途が限定されるためフリーローンやカードローンよりも比較的低金利なのが特徴です。
- その他のローンの金利相場はどのくらい?
- その他のローンの金利相場はローン種類にもよりますが、結婚式の費用に利用ができるブライダルローンは4%~7%程度で、保険適用外の医療費に利用ができる医療ローンは2%~10%程度になります。資金使途が自由なカードローンやフリーローンに比べると比較的低金利で借り入れができます。
- その他のローンの審査基準とは?
- その他のローンの審査基準は、ローンの種類や金融機関などによって異なります。契約者に返済能力があるかを重視されるため、職業・年収のほかに多額の借り入れがないかなどを調査して総合的に判断されるのが一般的です。また借入可能額の上限は審査によって決定します。
- その他のローンでお金を借りるまでの流れは?
- まず利用するローンに申込み、仮審査・本審査を受ける必要があります。本審査にあたっては本人確認書類や収入証明書などの必要書類を提出します。本審査に通過すると本契約を結び、融資が実行される流れとなります。
- その他のローンを利用するには保証人が必要?
- 原則保証人は不要です。しかし保証会社によっても判断は異なりますが、契約者が未成年で安定した収入がない場合や借入金額が高額な場合は保証人が必要になるケースもありますので、申込みを検討している金融機関のローン情報を確認しておきましょう。
- その他のローンの借り入れまでの日数はどのくらい?
- 利用するローンの種類によって異なりますが、ブライダルローンに申込みをしてから融資が実行されるまでの日数はおよそ1週間~2週間程度を見ておきましょう。医療ローンの場合は、借入先にもよりますが2週間~3週間程度かかるためローンを申込むタイミングも考慮をしましょう。
ライター紹介
- 氏名
- 新井 智美(あらい ともみ)
- 保有資格
- ファイナンシャルプランナー(CFP®)、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員
- 主なキャリア
- コンサルタントとして個人向け相談(資産運用・保険診断・税金相談・相続対策・家計診断・ローン・住宅購入のアドバイス)を行う他、資産運用など上記相談内容にまつわるセミナー講師(企業向け・サークル、団体向け)を行うと同時に金融メディアへの執筆及び監修も行い、現在年間200本以上の執筆及び監修をこなしている。これまでの執筆及び監修実績 は1,500本以上。
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