【第41回】リフォームローンの審査基準とは?通らない原因や落ちた場合の対処法を紹介
住宅に長年住んでいると、経年劣化のため、さまざまな個所の修繕(リフォーム)が必要となります。まだ築年数が浅いうちは軽微な修繕で済ませることができますが、年数が経ってくるにつれ、修繕箇所や規模も大きくなり、かかる費用も大きくなるでしょう。 この記事では、リフォームローンの概要や、利用にあたってどのような審査が必要になるのか、その期間や審査基準なども合わせて解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。
この記事は約10分で読むことができます。
お急ぎの方、リフォームローンのランキングを知りたい方は、このページ下部のこちらをご覧ください。
1. リフォームローンとは
リフォームローンとは、経年劣化で古くなった住宅の増築や修繕を目的とした工事費用を借り入れることができるローンです。
外壁や屋根など大規模なリフォームは、工事費用が高額になりがちです。リフォームローンは、そのための費用を一括で支払うだけの手持ち資金がない場合に非常に助かるローンといえます。
リフォームローンは「有担保型」と「無担保型」がありますが、「無担保型」のリフォームローンを利用する人は多いでしょう。
「無担保型」の場合、金利が高めに設定されている点や借り入れできる期間が短いといった点がデメリットとして挙げられます。しかし、「有担保型」に比べて審査の期間が短くできる点や、抵当権設定登記などの手続きが不要になることから、それらの費用を抑えることができる点はメリットといえるでしょう。
2. リフォームローンの審査は2つに分かれる
リフォームローンの審査は、そのほかのローンの審査と同様に、仮審査と本審査に分かれています。それぞれの審査でどのような点をチェックされるのか、詳しく解説します。
2-1 仮審査で他社借入状況などを確認
仮審査では、主に申込者の属性を審査します。申込みの際に申告された、年齢や年収、勤務先、勤務形態や勤続年数のほか、口座情報、他社からの借り入れの有無や信用情報についても審査項目に挙げられます。
仮審査の場合は本審査と比べて審査項目が少ないことから、金融機関によっては申込みしたその日に審査結果が通知されるところもあるので事前に確認しておくと安心です。
仮審査は複数の金融機関に申込むことは可能ですが、あまりに多くの金融機関に同時に申込むと審査に不利になる可能性があります。審査通過の可能性を高めるためには、利用したい金融機関に絞って申込むようにしましょう。
2-2 本審査で申込書や必要書類を提出する
仮審査に通過したら、次は本審査へと移行します。本審査の場合、リフォームローンの申込書やそれと合わせて審査に必要な書類を提出します。必要となる書類は金融機関によって異なりますが、一般的な必要書類は以下のとおりです。
- 本人確認書類(マイナンバーカード、運転免許証、健康保険証、パスポートなど)
- 収入証明書類(源泉徴収票、住民税課税証明書、確定申告書の写し、納税証明書 など)
- 住宅関連書類(不動産登記事項証明書など)
- リフォーム関連書類(工事費用見積もり書など)
書類によっては原本が必要となることや、有効期限内のものを用意する必要があるため、金融機関の公式サイト上で詳細を確認しましょう。発行に時間がかかるときもあり、早めに用意し始めるようにしてください。
3. リフォームローンの審査基準とは
リフォームローンの審査では、どのようなところをチェックされるのでしょうか。実際に審査でチェックされる内容について、具体的に見ていきましょう。
3-1 審査基準1:年齢
国土交通省が発表している「2021年度 民間住宅ローンの実態に関する調査結果報告書」によると、金融機関が融資を行う際に重視する項目として、「完済時年齢」(98.9%)を挙げており、全項目の中でも一番多くの割合をしめています。また、借入時年齢を重視すると回答した金融機関も97.1%と4番目に多い数値です。
このことから、審査においては借入時の年齢そして完済時の年齢を重視することが読み取れます。
特に完済時年齢を重要視していることから、借入時の年齢に加え、借入期間も関係するといえるでしょう。
3-2 審査基準2:勤務形態・年収など
上記と同じ資料において、年収や勤続年数、雇用形態のほか、勤務先の会社の規模などをチェックしている金融機関が多いことが分かります。
返済能力を判断するためにも年収は重要なポイントです。
さらに、完済まで延滞を起こすことなく返済を続けてもらわなければならないことから、完済まで継続して収入を得られる環境にあるかもチェックします。
大企業や公務員などが審査で有利になるのはこのような理由からです。
3-3 審査基準3:返済負担率
年収における年間のローン返済額の割合を返済負担率といいますが、返済負担率が高いと、何らかの理由で収入が一時的に少なくなった際に返済が困難になることも予想されます。返済負担率の基準は金融機関ごとにことなりますが、30%程度を基準としている金融機関が多くみられます。
ただし、基準値ギリギリで借りるのではなく、余裕を持って20%~25%程度の返済負担率に抑えるようにしましょう。 返済計画において重要なことは、無理なく返済できる額を設定することです。
3-4 審査基準4:他社借り入れ
上記の返済負担率とも関係しますが、リフォームローンだけでなく、ほかにもマイカーローン(自動車ローン)の借り入れがある場合だと、自ずと返済負担率も高くなります。
そうなると、金融機関は現在の返済に加えて新たな返済負担を抱えることになっても大丈夫かどうかを審査します。
そのため他社からの借入金額が多く、返済が残っている場合は、審査に不利になる可能性があるので注意が必要です。
リフォームローンを申込む前に、完済できるものはできるだけ完済しておきましょう。
4. リフォームローンの審査期間
リフォームローンの審査は、住宅ローンの審査と同様に、仮審査と本審査に分かれています。それぞれの審査でどのような点をチェックされるのか、詳しく解説します。
4-1 住宅ローンよりも審査期間は短い
仮審査は、インターネットで申込むと最短即日、遅くても3営業日程度で回答が届く場合が多いです。その後の本審査の審査期間は通常1週間~2週間程度といわれています。
審査に要する期間は金融機関によって異なるため、余裕をみて仮審査へ申込みをしておくと安心です。借り入れを希望する1カ月前から申込みをしたほうがよいでしょう。
4-2 審査期間が長くても落ちたとは限らない
審査結果の通知が遅い場合でも、審査に落ちたとはかぎりません。リフォームの工事内容によって審査の判断が難しいこともあります。また、1月~3月、および9月~10月などの繁忙期の場合は審査に2~4週間かかる可能性もあり、この時期は気長に待たなければなりません。5. リフォームローンの審査に通りやすい方の特徴
リフォームローンの審査に通りやすい方の特徴として、以下の点が挙げられます。理由と合わせて詳しく解説します。
5-1 給料が下がりにくい勤務先に勤めている方
大手の企業や公務員の場合、給与が安定しており、景気の影響を受けて給与が下がるケースはあまり見られません。そのため、安定かつ継続した収入が見込まれると判断され、返済能力を判断する際に有利になります。
5-2 勤続年数が長い方
一般的に勤続年数が長い方は、転職する可能性が低く、収入が安定していると判断される傾向にあります。この点も、勤続年数が短い、もしくは転職を繰り返している方と比べると、審査に有利に働きます。
5-3 返済負担率が低い方
返済負担率が高いと、何らかのきっかけで収入が減少した場合に、返済が困難な状態に陥る可能性が高くなります。
リフォームローンに限らず、返済負担率が低い方は完済まできちんと返済してもらえると判断されやすく、審査にも通りやすいといえます。
6. リフォームローンの審査に通らない理由とは
住宅ローンの審査と同様に、リフォームローンの審査も必ず通るとはかぎりません。中には以下のような理由が原因で審査に落ちてしまう可能性もあります。もし、思いあたる部分があるのであれば、それを解消するように努めることが大切です。
6-1 申込条件を満たしていない
住宅ローンの審査と同様に、リフォームローンの審査にも申込条件が設けられています。年齢や年収、完済時の年齢など、申込先である銀行などの金融機関の申込条件にきちんと該当していなければ、審査落ちになります。申込条件は銀行などの金融機関によって異なるため、公式ホームページを確認してみてください。
6-2 勤続年数が短い
一般的に勤続年数が短いことは、ローンの審査において不利に働きます。なぜなら、その企業に今後ずっと勤め続けるかどうかの判断ができないからです。
金融機関によっては、2年以上などの条件を設けているところがありますので、できれば転職してすぐのタイミングは外し、同じ会社で2年以上の勤務実績を作ってから申込むようにしてください。
6-3 収入が安定していない
金融機関は融資を行う以上、「融資した額をきちんと返してくれるかどうかの返済能力」を重視します。返済能力がないことにより、支払が滞って回収不能になるリスクをできるだけ避ける必要があるからです。 そのため、収入が安定していない場合は審査に通らない可能性があります。特に自営業者で年間の所得に振れ幅がある人は要注意です。
6-4 他社に借り入れがある
他社からの借り入れの有無も、審査に影響を及ぼす項目です。金融機関は融資の際に「返済負担率」をチェックします。この返済負担率とは、年収における年間のローン返済額全額の割合のことで、この割合が高すぎると審査に落ちてしまいます。
もし、住宅ローンやマイカーローン(自動車ローン)、教育ローンなど他社からの借り入れがある場合は、リフォームローンの申込み前にできれば完済しておくか、完済が難しいならば一部返済を行うなどして、他社からの借入額をできるだけ少なくしておきましょう。
6-5 債務整理をしている
リフォームローンに限らず、ローンの申込みがあった際、金融機関は信用情報機関に照会をかけます。その際に信用事故を起こしていることが分かった場合、審査に通ることは難しいと考えてください。
延滞などを起こした場合であっても、それは金融事故として登録され、5年間は保存されます。債務整理を行っている場合は長ければ10年間保存されるケースもあることから、そのような過去がある場合は、その事故情報が消えるまではローンの申込みを避けたほうがよいでしょう。
7. リフォームローンの審査は通りやすい?住宅ローンとの違い
リフォームローンは住宅ローンと比べて、提出する書類も少なく、審査期間も短い傾向にあるため、審査は通りやすいのではないかと思われがちです。
しかし、無担保である以上、審査においては住宅ローンなどの有担保ローンの審査よりも不利に働くこともあることは覚えておきましょう。必ずしもリフォームローンのほうが審査に通りやすいわけではないため、審査に通過するはずと楽観的にならないようにしてください。
8. リフォームローンの審査が通らなかったときの対処法
では、もしリフォームローンの審査に通らなかった場合、どのような対処法があるのでしょうか。考えられる対処法としては、以下のものが挙げられます。
8-1 住宅ローンに上乗せして借り入れする
現在住宅ローンを返済中であれば、借り換えを行い、その際にリフォーム費用も合わせて借り入れることを考えてみてもいいでしょう。全ての金融機関が対応しているわけではありませんが、借り換えの際にリフォーム費用を上乗せして融資してくれるケースもあります。
借り換えの場合も新規借り入れと同様に審査を受ける必要があります。しかし、住宅という担保があるため、リフォームローンのみの申込みよりも審査に通る可能性は若干高くなるともいえるでしょう。
借り換えの際には諸費用が必要となりますが、リフォームローンよりも住宅ローンのほうが金利は低いです。そのため、最終的にはリフォームローンを含めた返済総額を削減することにつながる場合もあります。
8-2 ほかのリフォームローンを検討する
住宅ローンと同様に、リフォームローンの審査も金融機関によって異なります。申込んだ金融機関では審査に通らなくても、別の金融機関では審査に通る可能性はゼロではありません。
ただし、ここで注意していただきたいのは、短期間で複数のローンに申込むこと自体が審査に不利になる点です。審査の如何にかかわらず「ローンに申込んだ」という情報は申込んでから6カ月間は信用情報機関に登録されます。
したがって6カ月の間に複数の金融機関に申込みを行うことはできるだけ避けることが大切です。ほかのリフォームローンに申込むとしても1社~2社程度に留めておくなど、慎重に検討するようにしてください。
9. リフォームローンの審査の流れを確認
最後に、リフォームローンの審査の流れについて確認しておきましょう。
9-1 仮審査に申込む
各金融機関の手順にそって申込みを行います。最近ではインターネットでの申込みを受け付けている金融機関が多く、夜でも申込みができるため、昼間に金融機関に行く時間がないという方はインターネットでの申込みの利用がおすすめです。
申込みの際には、「本人の情報」、「勤務先の情報」のほか「他社からの借入状況」などを申告します。
9-2 必要書類を提出する
必要書類は金融機関によって異なりますが、主に以下の書類が必要です。
- 本人確認書類(運転免許証など)
- 収入確認書類(源泉徴収票、確定申告書の控えなど)
- 資金使途が確認できる書類(見積もり書など)
事前にどのような書類が必要なのかを調べておき、漏れのないように準備しておきましょう。
9-3 在籍確認が行われる
申込時に申告した会社にきちんと在籍しているかを電話で確認することです。この在籍確認が取れないと、審査に通過できませんので、正確な連絡先を申告するようにしましょう。
9-4 審査結果が通知される
審査の結果が通知され、無事に審査に通過していることが分かった場合は、契約手続きに進みます。契約手続きまでインターネットで行えるところと、契約手続きは窓口への来店が必要なところがありますので、なかなか時間が取れない方は事前に確認しておくことをおすすめします。
リフォームローンの審査は計画的に受けよう
自宅の修繕や増改築の際にまとまった金額を融資してもらえるリフォームローンは、比較的低金利で借りることができる点からも非常に使いやすいといえます。
もちろん、自己資金で賄えるのであれば、それを利用してもいいですが、その後急な出費があった際に、それにあてる資金がないという状況は避ける必要があります。
審査についても、スムーズに行えるよう、事前に必要書類を揃えておくことはもちろんのこと、審査に不利な状況についてはできるだけ改善しておくことを心がけましょう。
- 審査回答期間ランキング
ライター紹介
- 氏名:
- 新井智美
- 保有資格:
- ファイナンシャルプランナー(CFP®)、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員
- 主なキャリア:
- コンサルタントとして個人向け相談(資産運用・保険診断・税金相談・相続対策・家計診断・ローン・住宅購入のアドバイス)を行う他、資産運用など上記相談内容にまつわるセミナー講師(企業向け・サークル、団体向け)を行うと同時に金融メディアへの執筆及び監修も行い、現在年間200本以上の執筆及び監修をこなしている。これまでの執筆及び監修実績 は1,500本以上。
リフォームローンに関するよくある質問
ここからはリフォームローンについてよくある質問について、その回答と合わせて紹介します。
- リフォームローンの金利相場はどのくらい?
- リフォームローンの金利相場は無担保型と有担保型の種類によって金利差があります。無担保型は担保がない分審査基準も厳しく、金利が1%~5%台と高めに設定されているものが多く、借入金額も有担保型と比較すると少額となっています。有担保型の金利は1%~3%程度と低金利で借り入れすることができます。
- リフォームローンの審査基準とは?
- リフォームローンの審査基準は一般的に「年収に対して無理のない返済負担率」であるか、「完済時年齢」、「年収」「他社借入状況」などがあげられます。リフォームローンの審査に落ちる人の傾向として、返済負担率が超過していることや申込書類の不備、他社からの借り入れが多いなどがあるのでローン申込みの前に見直しておくとよいでしょう。
- リフォームローンの返済方法は?
- 元金均等返済と元利均等返済があります。元金均等返済とは元金の返済額は毎月一定ですが、元金と利息の割合が変化するため、ローン残高が始めのうちは多いですが終盤になると少なくなるのが特徴です。元利均等返済は返済額が一定となるため、返済プランを立てやすいものの、元金均等返済と比較すると返済総額が大きくなることがあります。
- リフォームローンのお金を借りるまでの流れは?
- リフォームローンでお金を借りるまでの流れは、①リフォーム業者へ必要費用の確認、②金融機関へローンの申込み、③仮審査、④必要な書類を金融機関に提出し本審査、⑤融資実行となります。担保の有無で提出書類や借入可能額の上限も変わってくるので申込み前に情報収集しておくとよいでしょう。
- リフォームローンを利用するには保証人が必要?
- リフォームローンは原則保証人が不要なローンです。なぜならローン契約時に申込資格として保証会社の保証を受けられる人が対象となることが多いからです。保証会社は契約者が返済不能となったときに弁済する役割があるため金融機関としてはリスクを減らすことができます。
- リフォームローンの借り入れまでの日数はどのくらい?
- 借り入れまでの日数は平均1週間~2週間程度とされています。金融機関の種類や、担保の有無でも融資までの時間は変わってきます。ノンバンクのリフォームローンで無担保型の場合、借り入れまで3日程度なのでスピード優先の方にはよく、銀行系では2週間程度かかりますが、金利が低いため返済総額を抑えたい方には向いているとされています。
ライター紹介
- 氏名
- 新井 智美(あらい ともみ)
- 保有資格
- ファイナンシャルプランナー(CFP®)、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員
- 主なキャリア
- コンサルタントとして個人向け相談(資産運用・保険診断・税金相談・相続対策・家計診断・ローン・住宅購入のアドバイス)を行う他、資産運用など上記相談内容にまつわるセミナー講師(企業向け・サークル、団体向け)を行うと同時に金融メディアへの執筆及び監修も行い、現在年間200本以上の執筆及び監修をこなしている。これまでの執筆及び監修実績 は1,500本以上。
- 前の記事へ
- 次の記事へ
関連記事
人気記事
当サイトについて
カードローン+(プラス)(以下、当サイト)は株式会社コネクトムにより運営・管理されています。
当サイトはカードローンをはじめとする各種ローン商品などに関する情報の提供を目的としており、ローンの申込み、及び契約締結の代理、媒介、斡旋などを行うものではありません。
掲載情報について
当サイトに掲載されている融資の審査に関する内容につきましては、特定の金融機関がお申込みされたお客様に対して独自に行うものであり、当社は審査の過程および結果については一切関与しておりません。また、特定の金融機関の審査への適合性、正確性、完全性について保証するものではありません。融資の審査に関する情報などに基づいて被ったいかなる損害についても、当社は一切の責任を負いません。ローンの申込み、及び契約締結に関するすべての決定は、ご自身の判断で行うようお願いいたします。
融資の審査に関する情報や、金利、借入条件、キャンペーンなどの詳細については、金融機関から直接提供される正確かつ最新の情報を必ずご確認ください。
なお、当サイトに掲載されている情報は無断転載、無断使用を固く禁じます。