【第79回】リフォームローンに年齢制限はある?知っておくべき高齢者がお金を借りる方法を解説
一般的に金融機関が提供するローン商品には年齢制限が設けられているものが多くみられますが、リフォームローンにも年齢制限はあるのでしょうか。中には高齢になってから家の改修工事を行う方もいるため、年齢制限は気になるところです。
本記事では、リフォームローンの年齢制限について解説するとともに、年齢が理由でリフォームローンを利用できない場合の対処方法についても紹介するので、ぜひお役立てください。
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1. リフォームローンには年齢制限がある
リフォームローンには、年齢制限が設けられています。
具体的な年齢は金融機関によって異なりますが、目安としては
- 申込みができる年齢の上限:60歳~70歳まで
- 完済時の年齢の上限:80歳未満
と考えておきましょう。
金融機関によっては、60歳でもリフォームローンを利用できるケースもあります。完済時年齢の上限が設けられているため、返済期間を短く設定せざるを得ません。
リフォームの規模が比較的小さく、借入希望額も少なければ、利用できる可能性も高まりますが、大規模なリフォームを考えており、借入希望額が大きい場合は審査に通らないケースも考えられます。
1-1 団体信用生命保険にも年齢制限があるので注意
リフォームローンを利用するにあたって、高額の借り入れを考えている場合は、万が一に備えて、団体信用生命保険への加入を考えることが一般的です。
団体信用生命保険とは、住宅ローンなどを利用するにあたって、返済中に契約者が死亡もしくは高度障害状態になった際に保険金が支払われ、その保険金によって残りの住宅ローンを完済する仕組みの保険です。そのため、支払われる保険金額は、契約者が死亡もしくは高度障害になった時点の住宅ローン残額となります。
リフォームローンによっては、団体信用生命保険への加入が利用の条件になっているものもあります。逆に団体信用生命保険への加入を不要としているリフォームローンもありますが、加入が条件となっているリフォームローンに比べると金利が高めに設定されている点に注意が必要です。
また、団体信用生命保険への加入も年齢制限が設けられており、一般的には70歳までとされているケースが多くみられます。ただし、リフォームローン商品によって異なるので、商品概要説明書などで確認するようにしてください。
2. リフォームローンの審査でチェックされることとは
リフォームローンの審査では、主に以下の点についてチェックされます。
審査項目 | 内容 |
---|---|
年齢 | 申込時の年齢と合わせ、完済時の年齢もチェックします。 |
健康状態 | 団体信用生命保険への加入が条件となっているリフォームローンでは、団体信用生命保険に加入できる健康状態であるかも合わせてチェックを行います。 |
担保評価 ※有担保の場合 |
担保として提供する物件の価値を審査します。物件の価値によっては、融資額が借入希望額に満たない可能性もあります。 |
年収 | 申込者の返済能力を審査するために、年収を確認します。 |
勤続年数 | 勤続年数が長いほど、安定した収入が得られると判断します。 |
返済負担率 | 年収における、リフォームローンを含む他社からの借り入れを合わせた年間の返済額の割合のことで、金融機関ごとに独自の上限を設定しています。 |
また、高齢であるからこそ気をつけたいのが、年金受給者でも利用できるのかという点です。特に70歳以上であれば、年金が主な収入源となっている人も多く、そのような場合の返済能力をどのように判断するのか、申込み条件などをしっかりと確認するようにしましょう。
リフォームローンの審査は住宅ローンの審査とほぼ同じですが、有担保か無担保かで審査の内容が異なります。
2-1 有担保と無担保のリフォームローンの違い
リフォームローンには、有担保のものと無担保のものがあります。次項でそれぞれのメリットとデメリットについて解説します。
2-1-1 有担保のリフォームローンのメリット・デメリット
有担保のリフォームローンとは、主にリフォームをする自宅を担保にしてお金を借りるローンです。
担保を提供することで、高額の借り入れが可能になる点が大きなメリットです。借入金額が高額になるため、返済期間も長めに設定されます。
また、無担保のリフォームローンに比べ、低い金利で利用できる点もメリットといえるでしょう。
逆に、高額の融資になるため、審査が厳しく、担保となる物件の評価も審査に含まれるため、申込みから融資実行までの時間がかかる点がデメリットです。さらに、資産に必要となる書類が多く、手続きが複雑である点もデメリットとなっています。
2-1-2 無担保のリフォームローンのメリット・デメリット
無担保のリフォームローンは、担保を提供しないため、有担保のリフォームローンに比べると、借入可能額は低くなり、適用される金利も高くなる点がデメリットです。借入金額が少ないため、返済期間も短めに設定されます。
ただし、無担保のリフォームローンは審査に必要な書類が少なく、審査時間も短いというメリットがあります。したがってできるだけ早く融資を受けたい方におすすめです。担保を提供しないため、万が一返済が難しくなったときでも、自宅を手放さなくていい点も安心できます。
借入希望額が少なく、比較的短期間で返済できるなら、無担保のリフォームローンの利用がおすすめです。
3. 年齢制限でリフォームローンを利用できない!そんなときの対処方法とは
「高齢になって自宅を改修もしくは増改築しようと思ったけれど、年齢制限にかかるためリフォームローンを利用できない」というケースもあります。そのような状況になったときは、どのように対処すればいいのでしょうか。
年齢制限でリフォームローンを利用できないときの対処法について、次項で解説します。
3-1 対処方法1:住宅改修費支給制度を活用する
住宅改修費支給制度は、介護保険制度に基づいた制度で自宅に手すりやスロープをつけるなどの工事を行った際に、支給限度基準額の20万円の9割、つまり18万円を上限として給付されるものです。
3-1-1 住宅改修費支給制度の利用要件
住宅改修費支給制度の対象となる工事は、要介護の認定を受けた方が住む家に対し、
- 手すりの設置
- スロープの取り付け
- フローリングへの変更
- 開き戸から引き戸への変更
- 和式トイレから洋式トイレへの変更
上記のほか、これらの工事を行う際に必要となる付帯工事(壁面補強)などが当てはまります。
3-1-2 住宅改修費支給制度を利用するときの注意点
工事を行う前に住んでいる地域の介護保険課に対し、事前申請を行わなければなりません。その際にはケアマネジャーが作成した書類が必要になります。
着工の許可が出たら、工事を開始し、工事が完了したら完了報告書類を提出します。
その後、住宅改修費が支給される仕組みです。
住宅改修費支給制度を利用するには、事前申請が必要であり、ケアマネジャーの協力も必要だということを覚えておきましょう。
3-2 対処方法2:リバースモーゲージを利用する
リバースモーゲージとは、自宅を担保に融資を受け、そのまま自宅に住み続けることができる制度です。生きている間は利息のみを返済し、亡くなったときに担保として提供した自宅を売却して元本の返済にあてます。
3-2-1 リバースモーゲージの利用要件
一般的に60歳以上から利用できますが、金融機関によっては55歳や50歳から利用できるところもあります。また、申込者に一定の収入があることが求められます。
リバースモーゲージの資金使途は、原則として老後の生活資金です。そのほか、老人ホームへの入居一時金や自宅のリフォーム費用などにも利用できます。ただし、事業性資金には利用できません。
3-2-2 リバースモーゲージを利用する際の注意点
リバースモーゲージの契約は、自宅を担保にまとまった金額を借り入れ、元本の返済は亡くなったときに担保によって行われる内容です。そのため、相続人がいても、自宅を相続してもらうことはできません。
また、契約時に契約年数が設定されますが、契約年数よりも長く生きるとその時点で借入金額を一括で返済しなければならないという、長生きリスクがあります。
さらに、土地や建物の価値が下がれば、生存中であっても融資限度額が見直されるといったリスクも見逃せません。
リバースモーゲージには、さまざまなリスクが潜んでいるため、利用を考える際は慎重に検討するようにしましょう。
3-3 対処方法3:住宅金融支援機構に相談する
住宅金融支援機構は、高齢者向けの住宅ローン「リ・バース60」を提供しています。リ・バース60」は、リフォームだけでなく、住宅の購入や借り換えにも利用可能です。
3-3-1 住宅金融支援機構「リ・バース60」の利用要件
申込時点で満60歳以上であることや、返済負担率の条件(年収400万円未満:30%以下)を満たしていることが要件です。さらに、住宅を購入する場合、その住宅が新耐震基準を満たしていなければなりません。
また、資金使途にも制限があります。認められている資金使途は、以下の5つです。
- 本人が居住する住宅の建設資金または購入資金
- 住宅のリフォーム資金
- 住宅ローンの借り換え資金
- サービス付き高齢者向け住宅の入居一時金
- 子ども世帯などが居住する住宅の取得資金を借り入れるための資金
3-3-2 住宅金融支援機構「リ・バース60」を利用する際の注意点
住宅金融支援機構は「リ・バース60」を提供していますが、申込む窓口は金融機関です。そして、金融機関によって商品の内容が異なる点に注意が必要です。また、投資用物件の購入資金としては利用できません。さらに店舗や事務所のリフォーム工事は対象外となる点にも注意しておきましょう。
4. 年齢制限に該当しないリフォームローンを探してみよう
原則として、リフォームローンには年齢制限が設けられています。しかし、高齢だからこそ利用できるリフォームローンや給付制度などもあります。さまざまな要件を確認し、利用できる制度なら、利用を検討してみましょう。
また、年齢によっては利用できるリフォームローンもあります。リフォームローンを検討する際には、一括比較サイトなどを使って、自分たちが希望する条件に合う商品を探してみましょう。
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ライター紹介
- 氏名:
- 新井智美
- 保有資格:
- ファイナンシャルプランナー(CFP®)、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員
- 主なキャリア:
- コンサルタントとして個人向け相談(資産運用・保険診断・税金相談・相続対策・家計診断・ローン・住宅購入のアドバイス)を行う他、資産運用など上記相談内容にまつわるセミナー講師(企業向け・サークル、団体向け)を行うと同時に金融メディアへの執筆及び監修も行い、現在年間200本以上の執筆及び監修をこなしている。これまでの執筆及び監修実績 は1,500本以上。
リフォームローンに関するよくある質問
ここからはリフォームローンについてよくある質問について、その回答と合わせて紹介します。
- リフォームローンの金利相場はどのくらい?
- リフォームローンの金利相場は無担保型と有担保型の種類によって金利差があります。無担保型は担保がない分審査基準も厳しく、金利が1%~5%台と高めに設定されているものが多く、借入金額も有担保型と比較すると少額となっています。有担保型の金利は1%~3%程度と低金利で借り入れすることができます。
- リフォームローンの審査基準とは?
- リフォームローンの審査基準は一般的に「年収に対して無理のない返済負担率」であるか、「完済時年齢」、「年収」「他社借入状況」などがあげられます。リフォームローンの審査に落ちる人の傾向として、返済負担率が超過していることや申込書類の不備、他社からの借り入れが多いなどがあるのでローン申込みの前に見直しておくとよいでしょう。
- リフォームローンの返済方法は?
- 元金均等返済と元利均等返済があります。元金均等返済とは元金の返済額は毎月一定ですが、元金と利息の割合が変化するため、ローン残高が始めのうちは多いですが終盤になると少なくなるのが特徴です。元利均等返済は返済額が一定となるため、返済プランを立てやすいものの、元金均等返済と比較すると返済総額が大きくなることがあります。
- リフォームローンのお金を借りるまでの流れは?
- リフォームローンでお金を借りるまでの流れは、①リフォーム業者へ必要費用の確認、②金融機関へローンの申込み、③仮審査、④必要な書類を金融機関に提出し本審査、⑤融資実行となります。担保の有無で提出書類や借入可能額の上限も変わってくるので申込み前に情報収集しておくとよいでしょう。
- リフォームローンを利用するには保証人が必要?
- リフォームローンは原則保証人が不要なローンです。なぜならローン契約時に申込資格として保証会社の保証を受けられる人が対象となることが多いからです。保証会社は契約者が返済不能となったときに弁済する役割があるため金融機関としてはリスクを減らすことができます。
- リフォームローンの借り入れまでの日数はどのくらい?
- 借り入れまでの日数は平均1週間~2週間程度とされています。金融機関の種類や、担保の有無でも融資までの時間は変わってきます。ノンバンクのリフォームローンで無担保型の場合、借り入れまで3日程度なのでスピード優先の方にはよく、銀行系では2週間程度かかりますが、金利が低いため返済総額を抑えたい方には向いているとされています。
ライター紹介
- 氏名
- 新井 智美(あらい ともみ)
- 保有資格
- ファイナンシャルプランナー(CFP®)、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員
- 主なキャリア
- コンサルタントとして個人向け相談(資産運用・保険診断・税金相談・相続対策・家計診断・ローン・住宅購入のアドバイス)を行う他、資産運用など上記相談内容にまつわるセミナー講師(企業向け・サークル、団体向け)を行うと同時に金融メディアへの執筆及び監修も行い、現在年間200本以上の執筆及び監修をこなしている。これまでの執筆及び監修実績 は1,500本以上。
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