【第28回】住宅ローンの審査では何を見られる?審査の基礎知識と落ちてしまう理由
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1.審査が甘い住宅ローンはある?
結論からいうと、審査が甘い住宅ローンがあるかどうかは、審査を申込む人の経済的な状況などにも大きく影響されるので断言できません。また、住宅ローンの審査基準は商品を取り扱っている金融機関によって異なっており、その基準も公表されていないということもあります。一方、住宅ローンを取り扱う機関の性質などによって、比較的審査に通りやすい住宅ローンは存在するのは事実です。例えば、住宅金融支援機構が取り扱っている「フラット35」や、地域密着型の運営をしている地方銀行などの金融機関が取り扱う住宅ローンなどは比較的審査に通りやすいとされています。
2.住宅ローンを利用する流れと審査にかかる期間
続いて、住宅ローンを利用する場合の流れを確認します。審査結果が出るまでにどれくらいの期間が必要なのかもあわせてチェックしましょう。
2-1.住宅ローンを選んで事前仮審査に申込む
まずは、住宅ローンを比較したうえで、契約を希望する先を決定します。具体的には、金利や返済期間、商品内容などをもとに、自分にとって最適な住宅ローンを探すとよいでしょう。契約したい住宅ローンが決まったら、店舗やインターネットなどで申込みます。名前や住所、勤務先などの必要情報を入力して申込みが完了すると、事前審査が行われます。簡易的な審査である事前審査を通過すると、本審査に入る仕組みです。住宅ローンを実際に契約するのは、本審査に通った後になるのが一般的です。
2-2.本審査を受ける
住宅ローンの本審査を受けるためには、必要書類の提出が必要です。このとき必要になる書類については、後ほど詳しく解説するのであわせて確認してください。住宅ローンの本審査では、申込者が金融機関に渡した書類を使って本格的な調査が行われます。信用情報機関の登録された個人信用情報もチェックされます。前述の通り、住宅ローンの事前審査はあくまでも簡易的な審査なので、事前審査に通過しても本審査で落ちるケースもめずらしくありません。
事前審査に通ったからと言って安心しないようにしましょう。住宅ローンの本審査にかかる期間は、1週間~2週間ほどです。審査の内容や他からの申込み状況などによって左右されるので、具体的な期間については住宅ローンを申込んだ金融機関の担当者に確認しましょう。本審査の結果は郵送で知らされることもあれば、ネットで確認できる場合もあります。電話で通知されることもあるので、この辺りも契約希望先に確認しておくと安心です。
2-3.住宅ローン契約(金銭消費貸借契約)を結ぶ
住宅ローンの本審査に通過すると、住宅ローン契約(金銭消費貸借契約)を締結する流れになります。契約条件に納得できたら、金融機関の営業時間内に店舗を訪れて住宅ローンの契約を締結するのが一般的です。平日の日中しか契約を結べない金融機関も存在するので、時間の都合をつけておきましょう。住宅ローンが実行されるのは、物件の引き渡しのタイミングで、この時に金利が適用されます。融資金については金融機関から不動産会社などに直接振り込まれることが多いです。
3.住宅ローン審査の必要書類
先に触れましたが、住宅ローンの本審査を受けるためにはいくつかの書類を提出しなければいけません。具体的には、本人確認書類や住民票、印鑑証明書、収入を証明できる書類、物件情報を確認できる書類などを準備する必要があります。住宅ローンの申込書などは金融機関側が用意してくれますが、自分で取り揃えなくてはいけない書類も存在するので注意してください。例えば、住民票や印鑑証明書などは取得するまでに手間がかかるので、前もって準備しておくと住宅ローンの審査のときに焦らずに済みます。なお、細かな必要書類は住宅ローンを契約する金融機関によって異なります。事前審査と本審査、契約締結時で必要な書類が違うケースもあるので、担当者にしっかり確認しておきましょう。
4.住宅ローン審査で重視されやすい基準3選
住宅ローンの審査基準は公表されていませんが、重視されやすい項目はあります。審査で重要な項目を知ったうえで注意すれば、審査に通過する可能性をアップできるでしょう。この段落では、住宅ローンにおける代表的な審査基準を3つ紹介します。
4-1.その1.ローン借入時・完済時の年齢
住宅ローンの審査では、借入時・返済時の年齢について重要視されます。国土交通省が行った「令和元年度民間住宅ローンの実態に関する調査」では、金融機関が融資する際に考慮する項目が公表されています。この調査で、最も考慮されているのは完済時の年齢で、99.0%の金融機関が注目していることが分かったのです。また、借入時の年齢も96.8%が考慮に入れているため、住宅ローンを借り入れるタイミングや完済時の年齢を考えて返済期間を調整するべきだと言えるでしょう。実際、ほとんどの住宅ローンでは、申込み条件の1つに年齢の項目が入っています。下限年齢だけでなく、80歳までに完済するように記載されているものが多くなっています。
4-2.その2.健康状態
住宅ローンの契約者の健康状態も、審査で重要視されるポイントの1つです。「令和元年度民間住宅ローンの実態に関する調査」によると、98.5%の金融機関が健康状態に注目していることが分かっています。事実、住宅ローンの多くは、団体信用生命保険への加入を融資条件としています。団体信用生命保険とは、住宅ローンの契約者が死亡もしくは高度障害状態になった場合に保険金で残債を支払う仕組みの生命保険です。金融機関は、住宅ローンの契約者に万が一のことがあると貸し倒れになるため、団体信用生命保険の加入を義務付けるケースが多くなっています。健康状態が悪いと「団体信用生命保険」への加入が難しいので、住宅ローンの審査で契約者の健康状態がチェックされるのです。
4-3.その3.年収・雇用情報・返済負担率
住宅ローンの審査では、契約者の年収や他社からの借り入れも含めた返済比率についても確認されます。「令和元年度民間住宅ローンの実態に関する調査」では、金融機関の95.7%が年収を考慮していることが分かっています。また、返済負担率は89.2%の金融機関が審査の際に考慮しているということです。住宅ローンにおいて、契約者の年収は返済の原資となるので確認されるのは必然と言えるでしょう。ただし、この項目で注意したいのは、年収は金額の高さよりも安定性を重視される点です。不定期に大きな収入が入るよりも、毎月同額程度の収入を定期的に得ている方が住宅ローンの審査においては評価されます。
また、勤務先や雇用形態、勤続年数が住宅ローンの審査でプラスに働くケースもあります。例えば、勤続年数が短い人よりも長い人の方が将来的に仕事を辞めて収入減が無くなる可能性が低いと判断されるのです。住宅ローンの審査で確認される返済負担率とは、年収に占める借入金額の年間返済額の割合のことです。返済負担率が低いほど経済的に余裕があると判断できます。返済負担率が高い人よりも、無理のない返済が可能であると捉えられます。年収に対して返済額が大きい場合は、審査に落ちる原因にもなるので注意が必要です。
5.住宅ローン審査に通らない理由
住宅ローンの審査項目を知ったうえで対策をしても、落ちてしまうケースもあります。金融機関から具体的な理由を教えてもらえることはありませんが、この段落では考えられる原因をいくつか紹介します。まず考えられるのは、借入時や完済時の年齢が高すぎることです。金融機関で元々設定されている条件を満たしていなかったり、収入や健康面における返済能力への不安があったりすると住宅ローンの審査に通過できなくなることがあります。また、年収に対して住宅ローンの借入金額が高すぎると、審査に通りにくくなるので注意が必要です。一般的に、住宅ローンを利用した場合の返済負担率は30%~40%が適切だと言われています。返済負担率の割合が審査に落ちた原因だと考えられる場合は、住宅ローンの借入金額を年収の5倍程度までに抑えるように調整したうえで再度審査に挑戦するとよいでしょう。
その他、住宅ローン以外の借り入れがある人は、毎月の返済額が増えてローン返済が滞る可能性があると判断されている可能性があります。住宅ローンを申込むときは、審査が始まる前に他の借り入れを完済することで通過率をアップできるでしょう。過去に利用した借り入れやクレジットカードの利用履歴である信用情報に原因があることもあります。例えば、滞納などの記録が信用情報機関に残っていると住宅ローンの審査に通らない原因になります。
6.住宅ローン審査に落ちたらどうする?
住宅ローンの審査に落ちてしまうと、「マイホームが購入できない」と焦ってしまう人もいるでしょう。しかし、1つの住宅ローンの審査に落ちた段階でマイホームの購入を諦めるのは早いです。具体的な行動内容としては、住宅ローンの頭金を増やしたり、物件を見直したりすることで返済負担率を下げることが考えられます。また、夫婦でマイホームを購入する場合は、どちらか一方だけが契約者になるのではなく、夫婦で一緒に契約するペアローンを利用するのも1つの方法です。ペアローンなら夫婦の収入が合算された状態で審査を受けられるので、返済負担率を下げやすくなります。その他、住宅金融支援機構の「フラット35」に申込む方法もあります。住宅金融支援機構は銀行などと違って営利目的の事業ではないので、比較的審査に通りやすい特徴があるのでぜひ検討してみてください。
余裕のある返済計画で住宅ローンの審査通過を目指そう
住宅ローンの審査基準は、各金融機関で異なります。しかし、いずれの金融機関でも返済能力が審査において重要なポイントになります。そのため、住宅ローンを利用する場合は、無理なく返済できる資金計画をたてたうえで、審査通過を目指すのが効果的と言えるでしょう。今回解説した内容を、住宅ローンの審査通過に役立ててください。
- 限度額(借入可能額)ランキング
ライター紹介
- 氏名
- 丸岡日向子
- 保有資格:
- FP3級、日商簿記2級、銀行業務検定各種
- 主なキャリア:
- 地方銀行での勤務、税理士事務所での勤務の後、 フリーランスのライターとして起業。
住宅ローンに関するよくある質問
ここからは住宅ローンについてよくある質問について、その回答と合わせて紹介します。
- 変動金利と固定金利どちらがよい?
- 変動金利は固定金利より金利が低い傾向にありますが、金利動向に連動して変動するため、貯蓄に余裕があったり、今後収入が増える見込みがある人に向いていると言えます。一方、固定金利は一定期間同じ金利のため完済までのスケジュールを立てやすい点がメリットになり、無理なく返済したい人に向いていると言えます。
- 住宅ローンの審査基準とは?
- 住宅ローンの審査基準は返済能力をチェックするために「借入時・完済時の年齢」「健康状態」「勤務先・勤続年数」「年収」「担保評価」などになります。 物件の担保価値は契約者が返済できなくなった場合を考慮して評価されるため、借入前に不動産の価値を調べておくとよいでしょう。
- 住宅ローンの返済方法は?
- 住宅ローンの返済方法には「元利均等返済」と「元金均等返済」の2種類があります。元利均等返済とは返済額が毎月一定のため、返済プランを立てやすいことが特徴です。元金均等返済は返済が進むと返済額が減っていくため、元利均等返済と同期間での返済では返済総額が少なくなります。
- 住宅ローンでお金を借りるまでの流れは?
- 住宅ローンを借り入れるまでの流れは、ローンの申込みをしたあと仮審査、住宅の売買契約、本審査を経て契約、融資実行(住宅の引き渡し)となります。本審査では本人確認資料や物件確認資料、収入に関する書類などが必要となり、本人属性や他社借入状況など総合的に判断した上で借入可能額の上限が決定します。
- 住宅ローンを利用するには保証人が必要?
- 住宅ローンは基本的に保証人なしでお金を借りることができます。理由としては購入する自宅が担保となるため、契約者が返済ができなくなった時は住宅を売却することで資金を回収できることや、保証会社に一定の保証料を支払うため、保証会社が保証人の代わりの役割を担うことができるためです。
- 住宅ローンの借り入れまでの日数はどのくらい?
- 住宅ローンの借り入れまでの日数としては事前審査が1週間程度、本審査が2週間~3週間程度かかるため、およそ1ヵ月ほどかかります。必要書類に不備があったり、借入希望金額が大きい場合には審査が長期化し、更に時間を要します。
ライター紹介
- 氏名
- 丸岡 日向子(まるおか ひなこ)
- 主なキャリア
- 地方銀行で1年強勤務した後、税理士事務所で1年弱働く。その後、フリーランスのライターとして起業する。 銀行業務検定やFP3級、日商簿記検定2級などの資格で得た知識を最大限に生かしながら、金融系の記事を中心に日々執筆活動に励む。
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