【第29回】住宅ローンの変動金利と固定金利はどちらが人気?それぞれの特徴と選び方
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1.住宅ローンの変動金利と固定金利を比較
住宅ローンの金利の種類は、大きく変動金利と固定金利の2つに分けられます。この段落では、それぞれの特徴や金利の推移について確認していきます。
1-1.住宅ローンの変動金利とは
まずは、住宅ローンにおける変動金利の仕組みやメリットをチェックしていきましょう。デメリットも確認するので、自分が許容できるか考えながら読み進めてください。
1-1-1.変動金利の仕組み
そもそも変動金利とは、返済期間中に金利が変更される可能性がある住宅ローンの金利の種類です。一定期間ごとに金融情勢を確認し、これに応じた金利が適用されます。見直しが行われるのは一般的に半年ごとになっています。ただし、金利が変更されても住宅ローンの契約者が毎月支払う返済額に影響が出るのは、5年先になるケースがほとんどです。変動金利にしたからといって、すぐに返済額が変わるわけではないことを覚えておきましょう。また、金融情勢が大幅に上昇した場合でも、返済額が従来の1.25倍を超えることはありません。
これは、法律で決められたルールなので、どれだけ金利が上がってもそれまで支払っていた返済額が1.25倍よりも多くなることはないので少しは安心できますね。また、住宅ローンの金利タイプには固定金利期間選択型という種類もあります。固定金利期間選択型を選択すれば、一定期間は金利が固定されます。期間経過後は変動金利を選択することもできる仕組みなので、住宅ローンの金利を選ぶときに1つの選択肢として考えてみてください。
1-1-2.変動金利のメリット・デメリット
直近20年以上にわたり、変動金利は固定金利より低金利となっています。そのため、変動金利で契約すると今後大きな金利変動さえ起こらなければ、利息の総額が少なくなります。返済総額を抑えられるので、家計に対する負担が少なくなるのが大きなメリットです。一方、金利上昇が続くと、固定金利型の住宅ローンを選択するよりも返済総額が高くなる可能性があります。金利がどんどん上がっていけば、最悪の場合、未払利息の蓄積によって住宅ローンの最終返済日を迎えても完済できない状態になるので慎重な判断が必要です。未払利息とは、金利が急激に上昇した場合に発生する可能性がある利息のことです。毎月の利息額が返済額を超えた場合に、繰り延べられる超過分を未払利息と呼びます。変動金利型の住宅ローンを選べば必ず未払い利息が発生するというわけではありませんが、可能性はゼロではないことを理解しておきましょう。
1-2.住宅ローンの固定金利とは
続いて、住宅ローンの固定金利の仕組みや利用するメリットを解説していきます。変動金利と同じくデメリットも見ていきます。
1-2-1.固定金利の仕組み
固定金利を選択すると、金利情勢が変化しても住宅ローンの返済額に変化はありません。金利を固定できる期間は、利用する住宅ローンによって異なります。例えば、2年間だけ金利を固定するものや35年間ずっと金利が変わらないものもあります。一般的には、住宅ローンを完済するまで金利が変わらないタイプと所定の期間だけ金利を固定できるタイプの大きく2つに分けられるので覚えておきましょう。固定金利型の住宅ローンは、固定する年数によって適用される金利に影響が出るのが特徴です。固定金利が適用される住宅ローンとして有名なのは、金融機関と住宅支援機構が提携して取り扱う全期間固定タイプの「フラット35」です。
フラット35は契約時に完済までに適用される金利が決定されるため、返済額も確定します。銀行などの金融機関で取り扱われていますが、適用される金利がそれぞれの窓口で異なるのが特徴です。この他にも、民間の金融機関でも20年~30年の長期間にわたって金利を固定できる住宅ローンが取り扱われています。固定金利型の住宅ローンといってもさまざまな商品があるので、契約前によく比較・検討することが大切です。
1-2-2.固定金利のメリット・デメリット
固定金利の住宅ローンを契約すれば、長期間にわたって借入時の金利が適用されます。そのため、金利情勢の変化によって毎月の返済額が増える心配がありません。月々の支払額が固定されるので、住宅ローンを契約した時点で将来の返済計画を立てやすいのも固定金利を選択するメリットの1つです。毎月の家計管理もしやすくなります。一方、固定金利型の住宅ローンは、低金利の状況において変動金利よりも返済総額が高くなるデメリットがあります。したがって、できるだけ返済総額を抑えたいと考えている場合は、超低金利が続く今、固定金利型の住宅ローンを選択するとデメリットを感じることもあるかもしれません。前述の通り、過去20年間にわたって金利は低い状況であることを踏まえて、自分の希望にあう住宅ローンの種類を選択するとよいでしょう。
2.住宅ローン変動金利・固定金利の推移と今後の見通し
住宅ローンの変動金利と固定金利の違いを説明しましたが、どちらを選択するべきか判断するためにはそれぞれの推移と今後の見通しを知っておく必要があります。まず、変動金利についてですが、1991年には8%以上に達していましたが、景気の減退につられて2%~3%の低金利で推移しています。2009年以降は2.475%の値が続いている状況です。加えて、金融機関が指定する条件を満たすと優遇金利が適用されるケースが多くなります。基準金利から所定の数値か差し引かれるので、変動金利の実質金利は0.5%~1.5%前後を推移しています。一方、固定金利はフラット35を利用すると、制度が変更された2017年以降は1.0%~1.5%が適用されます。
この金利の違いから、超低金利が続く状況下において返済総額が抑えられるのは変動金利だといえるでしょう。2021年現在は、ゼロ金利政策などの影響を受けて、変動金利・固定金利ともにこれ以上下げられない状態になっています。今後の金融情勢によっては、住宅ローンの金利がもっと下がる可能性もあります。しかし、上昇の幅の方が広くなっているので、金融情勢によっては住宅ローンの金利が急激に上がるケースも考えられるでしょう。以上の理由から、金利タイプに関係なく住宅ローンの申込みや借り換えを考えているなら、超低金利が続く今が狙い目といえます。
3.変動金利と固定金利はどちらが人気?
変動金利と固定金利のどちらにするか迷っている人の中には、マイホームを購入した他の人が選択した金利の種類が気になる人もいるでしょう。住宅金融支援機構が2020年に行った「住宅ローン利用者の実態調査」によると、変動金利型の住宅ローンを選んだ人が62.9%であったことが分かっています。同調査で、固定期間選択型の住宅ローンを選んだのは24.5%、全期間固定型は12.6%の人が選択していることが判明しました。住宅ローンを決めるときの理由に「金利の低さ」を挙げる人が多いことも明らかになりました。超低金利時代においては、やはり固定金利よりも変動金利タイプの住宅ローンの人気が高いといえるでしょう。
また、変動金利型の住宅ローンを契約した人のうち、金利上昇時に返済を継続できるだけの資金力のある人や全額返済・一部繰上げ返済を考えている人は、68.1%いることが分かりました。このデータから、変動金利型の住宅ローンを契約する人の多くは、経済的な余力を持った状態で申込んでいると判断できます。超低金利時代において固定金利よりも返済総額が抑えられる変動金利ですが、将来的に返済額が増えるリスクは払拭できません。変動金利型の住宅ローンを契約する場合は、こうしたリスクに対応できるか否かを慎重に検討することが重要だといえるでしょう。
4.住宅ローンの金利はどう選ぶ?
住宅ローンの変動金利と固定金利の違いについて詳しく解説してきましたが、結局どちらを選べばよいか判断できない人も多いでしょう。この段落では、金利タイプの選び方について、それぞれの金利に向いている人を紹介します。自分の考え方や年収などの状況を元に、適した金利の種類はどちらか考えながら読み進めてみましょう。
4-1.変動金利が向いているケース
変動金利型の住宅ローンの利用が向いているのは、借入金額が少なめの人です。住宅ローンの利用額が少なければ、将来金利が上昇しても利息額が急激に増加することはありません。また、設定する返済期間が短い人も変動金利型の住宅ローンの利用に適しています。返済期間が短いと金利が発生する期間も短くなり、借り入れた融資金の元本を効率良く返済できます。そのため、変動金利型の住宅ローンを選んで金利が上昇した場合でもそれほど大きな影響を受けません。その他、年収が高い人や共働きなどで家計に余裕がある人も、変動金利型の住宅ローンを契約するとよいでしょう。もし金利が上昇しても、経済的な余力があれば無理なく対応できます。
4-2.固定金利が向いているケース
固定金利を選ぶと毎月の返済額が一定になるので、完済までの返済計画を住宅ローンの契約時に確定できます。そのため、将来的に教育費や医療費など大きな支出が発生する予定がある人、これからしっかり貯蓄したいと考えている人には、変動金利型の住宅ローンよりも固定金利型が適しています。毎月の返済額が変わらない固定金利を選択することで、収支計画が立てやすくなるでしょう。また、金融情勢や金利の変動を把握するのが面倒な人は、返済期間中に金利が変わることがない固定金利型の住宅ローンを利用するとよいでしょう。変動金利のように金融情勢にあわせて借り換えなどを検討しなくてすみます。その他、他社のローンを利用していたり、将来住宅ローンの借り換えが難しかったりする人は、変動金利型よりも固定金利型の方が向いています。
金利の特徴を押さえて最適な住宅ローンを選ぼう!
住宅ローンの金利の種類は、変動金利と固定金利の大きく2つに分けられます。金利タイプは返済総額に大きく影響するので、それぞれの特徴を理解しなければいけません。近年は超低金利と言われており、変動でも固定でも住宅ローンを利用しやすいタイミングになっていることも踏まえて自分にあう金利の種類を選択しましょう。
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ライター紹介
- 氏名:
- 丸岡日向子
- 保有資格:
- FP3級、日商簿記2級、銀行業務検定各種
- 主なキャリア:
- 地方銀行での勤務、税理士事務所での勤務の後、フリーランスのライターとして起業。
住宅ローンに関するよくある質問
ここからは住宅ローンについてよくある質問について、その回答と合わせて紹介します。
- 変動金利と固定金利どちらがよい?
- 変動金利は固定金利より金利が低い傾向にありますが、金利動向に連動して変動するため、貯蓄に余裕があったり、今後収入が増える見込みがある人に向いていると言えます。一方、固定金利は一定期間同じ金利のため完済までのスケジュールを立てやすい点がメリットになり、無理なく返済したい人に向いていると言えます。
- 住宅ローンの審査基準とは?
- 住宅ローンの審査基準は返済能力をチェックするために「借入時・完済時の年齢」「健康状態」「勤務先・勤続年数」「年収」「担保評価」などになります。 物件の担保価値は契約者が返済できなくなった場合を考慮して評価されるため、借入前に不動産の価値を調べておくとよいでしょう。
- 住宅ローンの返済方法は?
- 住宅ローンの返済方法には「元利均等返済」と「元金均等返済」の2種類があります。元利均等返済とは返済額が毎月一定のため、返済プランを立てやすいことが特徴です。元金均等返済は返済が進むと返済額が減っていくため、元利均等返済と同期間での返済では返済総額が少なくなります。
- 住宅ローンでお金を借りるまでの流れは?
- 住宅ローンを借り入れるまでの流れは、ローンの申込みをしたあと仮審査、住宅の売買契約、本審査を経て契約、融資実行(住宅の引き渡し)となります。本審査では本人確認資料や物件確認資料、収入に関する書類などが必要となり、本人属性や他社借入状況など総合的に判断した上で借入可能額の上限が決定します。
- 住宅ローンを利用するには保証人が必要?
- 住宅ローンは基本的に保証人なしでお金を借りることができます。理由としては購入する自宅が担保となるため、契約者が返済ができなくなった時は住宅を売却することで資金を回収できることや、保証会社に一定の保証料を支払うため、保証会社が保証人の代わりの役割を担うことができるためです。
- 住宅ローンの借り入れまでの日数はどのくらい?
- 住宅ローンの借り入れまでの日数としては事前審査が1週間程度、本審査が2週間~3週間程度かかるため、およそ1ヵ月ほどかかります。必要書類に不備があったり、借入希望金額が大きい場合には審査が長期化し、更に時間を要します。
ライター紹介
- 氏名
- 丸岡 日向子(まるおか ひなこ)
- 主なキャリア
- 地方銀行で1年強勤務した後、税理士事務所で1年弱働く。その後、フリーランスのライターとして起業する。 銀行業務検定やFP3級、日商簿記検定2級などの資格で得た知識を最大限に生かしながら、金融系の記事を中心に日々執筆活動に励む。
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