【第32回】親子リレー型住宅ローンは借りやすい?メリット・デメリットを徹底解説
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1.親子リレー型住宅ローンとは?
まずは、親子リレー型住宅ローンの仕組みや利用条件について解説します。この章で、基本的な特徴を理解しておきましょう。
1-1.親子リレー型住宅ローンの仕組み
親子リレー型住宅ローンとは、1つの住宅ローン契約の返済を二世代で行うものです。例えば、親と子どもで返済したり、親と孫、親と子や孫の配偶者で住宅ローンの契約を引き継いだりします。支払いの手順としては、先に親が住宅ローンを契約して返済額を負担します。そして、定年退職などで親の収入が途絶えたタイミングで、残債の返済義務が子(もしくは孫・子や孫の配偶者)に引き継がれる流れです。親子リレー型住宅ローンの返済期間は通常の住宅ローンと同様に最大35年までで、返済する人の組み合わせに影響されることはありません。
以上の内容から、親子リレー型住宅ローンは、年齢や収入などの理由で単独での住宅ローンの契約が難しい場合に適していると言えるでしょう。なお、親子リレー型住宅ローンとよく似た名称に「親子ペアローン」という商品があります。親子ペアローンとは、1つの物件に対して親子で個別に審査を受けて契約する必要がある住宅ローンです。前述した親子リレー型住宅ローンと違って、親子ペアローンは同じ時期に親と子どもがそれぞれ住宅ローンの返済を進める違いがあります。両者の名称は似ていますが、親子リレー型住宅ローンと親子ペアローンとでは、返済方法が大きく異なるので混同しないように注意してください。
1-2.親子リレー型住宅ローンの利用条件
親子リレー型住宅ローンを使ってマイホームを購入する場合は、通常の住宅ローンと同じく、各金融機関で設定されている利用条件を満たす必要があります。一般的な利用条件としては、親と子(もしくは孫・子や孫の配偶者)のそれぞれが安定した収入を得ていることが挙げられます。また、借入時の年齢や団体信用生命保険への加入義務なども条件となっているケースが多いです。なお、親子リレー型住宅ローンで「子」にあたるのは、基本的には親の直系親族です。もしくは、直系親族の配偶者が親子リレー型住宅ローンを利用できる「子」として扱われることを覚えておきましょう。ただし、金融機関によってはこれまでに紹介した利用条件に加えて、同居も条件とされていることがあります。親子リレー型住宅ローンの正確な利用条件については、各金融機関によって違うので申込み前にあらかじめ確認しておくと安心です。
2.親子リレー型住宅ローンのメリット
次に、親子リレー型住宅ローンを利用してマイホームを購入するメリットを3つ紹介します。後ほどデメリットも解説するので、比較しながら読み進めていきましょう。
2-1.親子リレー型住宅ローンなら親の年齢が高くても契約できる
親子リレー型住宅ローンを活用すれば、年齢を理由にマイホームの購入を諦めなくてすみます。住宅ローンは基本的に、利用条件として完済時年齢の上限が定められています。そのため、年収などの条件を満たしていても、年齢が原因で住宅ローンの契約ができないケースもめずらしくありません。しかし、親子リレー型住宅ローンでは、「子(もくしは孫・子や孫の配偶者)」の年齢が基準になります。したがって、親が高齢であっても、親子リレー型住宅ローンならマイホームを購入できるというわけです。
ちなみに親子リレー型住宅ローンの返済期間は、子(もしくは孫・子や孫の配偶者)の年齢で決定されます。つまり、高齢の親が単独で住宅ローンを契約するよりも、返済期間を長めに取れます。返済期間が長くなると利息の発生額が増えますが、毎月の返済負担を軽くできる可能性があるのがポイントです。家計に対する月々の負担が気になる場合は、必要に応じて親子リレー型住宅ローンの利用を検討するといいでしょう。
2-2.単独契約より多くの借り入れが可能になる
親子リレー型住宅ローンは、親と子(もしくは孫・子や孫の配偶者)の収入を合算して審査が行われる仕組みです。そのため、単独で住宅ローンを利用するよりも、高額な借り入れがしやすい特徴があります。住宅ローンの審査では、さまざまな項目を元に適正な借入額が設定されますが、契約者の返済能力を表す年収が高ければその分、多くの借り入れができる可能性があるというわけです。
親や子(もしくは孫・子や孫の配偶者)が単独で住宅ローンの審査を受けた場合には手が出ない物件を購入できるケースもめずらしくありません。自分の年収に対して少し負担が大きくなる価格帯のマイホームの購入を考えているなら、親子リレー型住宅ローンの利用が適しているでしょう。ただし、親子リレー型住宅ローンの取扱金融機関によっては、合算した年収を半分にして審査する場合もあるので申込む前によく確認してください。
2-3.住宅ローン控除が2人分適用される
親子リレー型住宅ローンは、親と子(もしくは孫・子や孫の配偶者)それぞれに住宅ローン控除が適用されるので税制的なメリットを感じられます。そもそも住宅ローン控除とは、住宅ローンを利用してマイホームを購入した場合などに所得税から所定の金額が控除される仕組みです。初年度のみ確定申告をすることで、税金が還付される仕組みです。1つの住宅ローンで年間最大40万円の控除を受けられます。しかし、親子リレー型住宅ローンであれば、2人それぞれに控除額が適用されるので最大80万円が控除されます。
3.親子リレー型住宅ローンのデメリット
親子リレー型住宅ローンの利用を検討するならメリットだけでなく、デメリットも理解しておくことが大切です。この章では、親子リレー型住宅ローンの3つのデメリットを確認しましょう。
3-1.親子リレー型住宅ローンは親が団信に入れないことが多い
親子リレー型住宅ローンは通常の住宅ローンと比べると、親が団体信用生命保険に加入しにくい特徴があります。団体信用生命保険とは、住宅ローンを契約するときに債務者が加入手続きをする生命保険です。加入すると、万が一、住宅ローンの返済中に債務者が死亡もしくは高度障害状態になった場合に保険金でローンが完済されます。親子リレー型住宅ローンを利用するときは、親か子(もしくは孫・子や孫の配偶者)のどちらかが団体信用生命保険に加入する仕組みになっています。
しかし、実際には、ほとんどの金融機関で親の団体信用生命保険の加入を認めていません。したがって、親子リレー型住宅ローンの返済中に親が死亡もしくは高度障害状態になった場合、子(もしくは孫・子や孫の配偶者)に多額の債務が残るリスクがあります。親から住宅ローンを引き継ぐ人の家計の状況にもよりますが、こうなると完済が難しくなる危険性があるので注意してください。このリスクを解消するためには住宅ローンの契約とは別に、生命保険に加入するなどの工夫が必要でしょう。
3-2.親子リレー型住宅ローンでは物件名義によるトラブルが起きやすい
親子リレー型住宅ローンの利用において、物件名義によるトラブルが起きやすい点がデメリットとして挙げられます。これには、物件名義を親と子(もしくは孫・子や孫の配偶者)の返済負担の割合をもとに登記しないと、贈与税がかかってしまう可能性が背景にあります。例えば、親子リレー型住宅ローンを契約した子どもに兄弟姉妹がいると、親が死亡したときに住宅の相続をめぐってトラブルが発生するリスクがあるでしょう。親子リレー型住宅ローンを契約する場合はこうした問題が起きないように、名義の登記を正確に行うことが重要です。また、正式に親子リレー型住宅ローンを契約する前に、家族間で将来の相続についてきちんと話し合いを行うなどの対策が必要不可欠です。
3-3.親子リレー型住宅ローンの契約中は新しい借り入れが難しい
親子リレー型住宅ローンには、契約中に新規で追加の借り入れが難しいというデメリットもあります。例えば、子どもが親子リレー型住宅ローンを利用して手に入れた住宅とは別にマイホームを購入する場合に、新しい住宅ローンを組めないケースが考えられます。これは、まだ返済が子どもに引き継がれておらず、親が返済中であっても同様です。この理由としては、子どもが住宅ローンの返済を引き継いでいなくても、連帯債務者に設定されていることが挙げられます。もちろん、転勤や同居の解消などになったとしても、親子リレー型住宅ローンを完済するまでは別の住宅ローンを利用できません。加えて、カードローンや教育ローン、自動車ローンなどのローン商品の審査も通過しにくくなるので、親子リレー型住宅ローンの利用を検討する場合は慎重な判断が必要です。
4.親子リレー型住宅ローンの審査内容
親子リレー型住宅ローンの審査基準は各金融機関で違いますが、基本的には一般的な住宅ローンと同じです。審査の細かい内容は公開されていないので分かりませんが、国土交通省の「令和元年度民間住宅ローンの実態に関する調査」によると各金融機関の審査では完済時や借入時の年齢、健康状態、年収、返済負担率などが重視されやすいことが分かっています。例えば、親子リレー型住宅ローンの借入時の年齢が高いと完済時の年齢が高くなり、定年退職で収入が激減してしまうなどの理由で審査に通過するのが難しくなります。
健康状態が悪ければ将来的に働くのが難しくなり、返済能力がなくなるリスクがあると判断されやすいです。年収については高いほど、返済負担率は低いほど審査に通りやすいと言われています。返済負担率とは、債務者の年収に対する年間返済総額の割合のことです。住宅ローンだけでなく、カードローンやマイカーローン、教育ローンなど各種借り入れの返済総額を用いて判断されます。数値が低いほど年収に対して返済額が少ない状況だと言えるので、ローンの審査において返済能力に余裕があるとみなされます。
親子リレー型住宅ローンを活用してマイホームを手に入れよう!
単独では住宅ローンの契約が難しい場合でも、親子リレーを活用すればローンを利用できる可能性があります。少し価格帯が高めの物件にも手が届くケースもめずらしくありません。親子リレー型住宅ローンは、各金融機関でサービスや利用条件が異なります。そのため、契約する前にしっかり比較・検討したうえで、家族会議をして親子リレー型ローンの利用を考えてみましょう。
- 金利ランキング
ライター紹介
- 氏名:
- 丸岡日向子
- 保有資格:
- FP3級、日商簿記2級、銀行業務検定各種
- 主なキャリア:
- 地方銀行での勤務、税理士事務所での勤務の後、フリーランスのライターとして起業。
住宅ローンに関するよくある質問
ここからは住宅ローンについてよくある質問について、その回答と合わせて紹介します。
- 変動金利と固定金利どちらがよい?
- 変動金利は固定金利より金利が低い傾向にありますが、金利動向に連動して変動するため、貯蓄に余裕があったり、今後収入が増える見込みがある人に向いていると言えます。一方、固定金利は一定期間同じ金利のため完済までのスケジュールを立てやすい点がメリットになり、無理なく返済したい人に向いていると言えます。
- 住宅ローンの審査基準とは?
- 住宅ローンの審査基準は返済能力をチェックするために「借入時・完済時の年齢」「健康状態」「勤務先・勤続年数」「年収」「担保評価」などになります。 物件の担保価値は契約者が返済できなくなった場合を考慮して評価されるため、借入前に不動産の価値を調べておくとよいでしょう。
- 住宅ローンの返済方法は?
- 住宅ローンの返済方法には「元利均等返済」と「元金均等返済」の2種類があります。元利均等返済とは返済額が毎月一定のため、返済プランを立てやすいことが特徴です。元金均等返済は返済が進むと返済額が減っていくため、元利均等返済と同期間での返済では返済総額が少なくなります。
- 住宅ローンでお金を借りるまでの流れは?
- 住宅ローンを借り入れるまでの流れは、ローンの申込みをしたあと仮審査、住宅の売買契約、本審査を経て契約、融資実行(住宅の引き渡し)となります。本審査では本人確認資料や物件確認資料、収入に関する書類などが必要となり、本人属性や他社借入状況など総合的に判断した上で借入可能額の上限が決定します。
- 住宅ローンを利用するには保証人が必要?
- 住宅ローンは基本的に保証人なしでお金を借りることができます。理由としては購入する自宅が担保となるため、契約者が返済ができなくなった時は住宅を売却することで資金を回収できることや、保証会社に一定の保証料を支払うため、保証会社が保証人の代わりの役割を担うことができるためです。
- 住宅ローンの借り入れまでの日数はどのくらい?
- 住宅ローンの借り入れまでの日数としては事前審査が1週間程度、本審査が2週間~3週間程度かかるため、およそ1ヵ月ほどかかります。必要書類に不備があったり、借入希望金額が大きい場合には審査が長期化し、更に時間を要します。
ライター紹介
- 氏名
- 丸岡 日向子(まるおか ひなこ)
- 主なキャリア
- 地方銀行で1年強勤務した後、税理士事務所で1年弱働く。その後、フリーランスのライターとして起業する。 銀行業務検定やFP3級、日商簿記検定2級などの資格で得た知識を最大限に生かしながら、金融系の記事を中心に日々執筆活動に励む。
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