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【第35回】不動産担保ローンに借り換えると返済が楽?借り換えの特徴と商品の選び方

2021年07月05日
不動産担保ローンに借り換えると返済が楽?借り換えの特徴と商品の選び方
不動産担保ローンとは、所有している不動産を担保にすることで、お金を借りられる金融商品です。借入金額は不動産の価値に影響されます。もし、高い価値がある不動産を持っていれば、多額の借り入れが実現するため利用者から人気を得ています。現在、返済に悩んでいる人には、低金利の不動産担保ローンへの借り換えも効果的です。本記事では、不動産担保ローンに借り換えるメリット・デメリットなど幅広い情報を紹介します。

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    1.借り入れの返済が苦しいときは「借り換え」の検討を!

    現在借り入れをしている人のなかには、返済が苦しいと感じている人もいるでしょう。こうした場合は、借り換えを実施することで、今よりも返済負担を軽減できる可能性があります。まずは、この章で借り換えの基本的なポイントについて解説するので、ひとつずつ確認していきましょう。

    1-1.「借り換え」とは?

    そもそも借り換えとは、すでにローンなどでお金を借りている場合に、別の金融機関との契約によって既存の借り入れを返済する方法です。新しい契約先の条件が前のものより良ければ、さまざまなメリットを感じられます。たとえば、もともとの契約よりも新しい契約のほうが低い金利なら、そのぶんだけ家計の負担を減らせるでしょう。このほかにも、借り換えには多数のメリットがありますが、詳しくは次項で解説するのであわせてチェックしてください。

    利用者が借り換えを行う目的はさまざまですが、一般的には「金利を下げたい」「金利のタイプを変更したい(例:固定→変動)」「契約当初に設定した返済期間を延長したい」などの理由で借り換えを検討する人が多いです。なお、借り換えとおまとめローンは、まったく違います。前述の通り、借り換えは1つの借り入れの契約先を変更することです。一方、おまとめローンは、複数の借り入れを1つのローンにまとめることで返済負担の軽減などを狙う金融商品です。両者は仕組みが少し似ているため混同しやすいですが、同じものではありません。借り換えを検討する場合は、おまとめローンと間違えないように注意しましょう。

    1-2.不動産担保ローンに借り換えるメリット

    不動産担保ローンで借り換えをする大きなメリットは、全部で4つあります。

    1つ目のメリットは、不動産を担保にしてローンを契約するため、他のローン商品と比較すると金利が抑えられることです。金利が低ければ返済期間中に発生する利息額が少なくなり、今よりも毎月の返済金額が少なくなる可能性があります。もちろん、返済総額も以前の契約より抑えられるため、家計への負担が少なくすみます。

    2つ目のメリットは、返済期間を長めに設定できる点です。カードローンなどの無担保ローンだと、返済期間は10~15年ほどであることが一般的です。しかし、不動産担保ローンは、契約先の条件にもよりますが、返済期間を30年以上の長期に設定できる場合も珍しくありません。

    返済期間が長くなると、その分だけ利息の発生額が大きくなりますが、毎月の返済が抑えられるメリットがあります。仮に、前の契約よりも金利が下がらない場合であっても、不動産担保ローンなら毎月の負担を軽減できるのが特徴です。

    3つ目のメリットは、不動産の価値次第で、億を超える金額の借り入れも実現する可能性がある点です。カードローンやビジネスローンなど、ほかの金融商品を利用している最中でも、不動産担保ローンなら追加融資を受けられるかもしれません。

    4つ目のメリットは審査に通りやすいことです。ご存じの通り、ローンを契約するためは必ず審査に通過しなければいけません。不動産担保ローンは担保として不動産を設定するため、無担保ローンと比較すると審査の通過率が比較的高いといわれています。

    1-3.不動産担保ローンに借り換えるデメリット

    次に、不動産担保ローンに借り換えるデメリットを確認しましょう。大きなデメリットとして、メリット同じく4つ挙げられます。

    1つ目のデメリットは、不動産を失ってしまう可能性がある点です。前述の通り、不動産担保ローンは不動産を担保にします。そのため、借りたお金を期間内に返済できなければ、担保に設定した不動産が取られてしまう可能性があるので注意が必要です。

    2つ目のデメリットは、返済期間の長期化による返済総額の増加です。不動産担保ローンは、ほかのローン商品よりも返済期間を長めに設定できます。

    しかし、返済期間が長期化すると、そのぶんだけ借入期間が長くなるため金利の発生額が増えてしまいます。したがって、期間を延長する前と比較すると返済総額が多くなるのです。毎月の返済額を減らすために不動産担保ローンに借り換える方法は有効ですが、安易に返済期間を長くしないように気をつけましょう。

    3つ目のデメリットは、借り換えのために諸費用がかかってくる点です。たとえば、もともとの借り入れを返済するために必要な繰り上げ返済手数料、新規契約には事務手数料、印紙代、登記費用などの料金がかかります。

    インターネットで手続きすれば、こうした手数料がかからない金融機関もあります。しかし、必ず利用できるわけではないので気をつけなければいけません。

    4つ目のデメリットは、融資を受けるまでに時間がかかる点です。担保になる不動産の価値は、不動産鑑定によって決定されます。そのため、実際に不動産担保ローンのお金を手にできるのは、1週間~1カ月ほどかかる可能性があります。急いで不動産担保ローンに借り換えたい場合は、できるだけ早めに金融機関に連絡し、スケジュールを調整できるか確認する必要があるでしょう。

    1-4.不動産担保ローンの借り換えが向いている人

    不動産担保ローンの利用に向いているのは、カードローンなどですでに限度額いっぱいにお金を借りている人です。不動産を担保に入れることで借りられるお金が多くなる可能性があるため、追加融資を受けたい人にも適しています。また、不動産担保ローンは、借入金の使途が制限されていないことが多いです。したがって、個人消費用のお金を借りたい人だけでなく、事業資金を必要とする法人・個人事業主にも向いています。

    そのほか、毎月の返済額をできるだけ少なく抑えたい人も、不動産担保ローンを使った借り換えを検討すると良いでしょう。もともとの契約条件よりも低い金利で、返済に充てられる期間を長くできる可能性があります。不動産を新たに相続した人や、都市開発などで所有する土地の価値が上がった人のなかにも、不動産担保ローンの利用を考える人がいます。不動産を担保にしてローンを借り換えることで、より有利かつ多くの借り入れができる可能性が高いです。

    2.不動産担保ローンへの借り換えを活かせる3つのパターン

    不動産担保ローンは、ほかのローン商品からの借り換え先としても有効です。そして、これから解説する3つのパターンは不動産担保ローンへの借り換えを活かせます。

    1つ目は、カードローンなどの無担保ローンから借り換えを行う場合です。前述の通り、不動産担保ローンは無担保ローンと比較すると、金利や返済期間、借入額などの面で優れています。続いて2つ目は、別の金融機関の不動産担保ローンからの借り換えです。不動産担保ローンと一口に言っても、金融機関ごとに土地の評価や金利などの条件が異なります。

    そのため、もともとの契約の金利を下げたい場合、不動産の価値が上がった場合などに借り換えを実施することで、さまざまなメリットを感じられる可能性があります。

    3つ目は、住宅ローンからの借り換えです。不動産担保ローンは、住宅ローンと比較すると金利が割高です。しかし、住宅ローンと違いお金の使途が自由であるため使い勝手が良く、住宅ローン契約だと難しい賃貸も可能です。不動産担保ローンへの借り換えは、いろいろな場合に有効であるのは間違ないものの、借り換えには必ず審査があります。どの金融機関でも、審査に通らないと借り換えはできないので十分に注意してください。

    3.借り換える不動産担保ローンの選び方

    不動産担保ローンの契約先は、たくさんあるため迷ってしまうこともあります。この章では、不動産担保ローンを選ぶときのポイントを解説します。

    3-1.銀行系かノンバンク系か

    不動産担保ローンを扱う金融機関は、主に銀行系とノンバンク系の2つに分けられます。銀行系の不動産担保ローンは、一般的に借入金の使途が限定されたり、審査が厳しかったりするケースが多いです。しかし、ノンバンク系と比較すると、金利が割安なので返済総額を抑えやすい特徴があります。一方、ノンバンク系の不動産担保ローンは、ローンの使途が自由で審査に比較的通りやすいといわれています。ただし、金利は銀行系よりも高めなので、多額の借り入れをする場合は注意しなければいけません。

    3-2.融資までの期間はどれくらいか

    不動産担保ローンの審査の基準や過程は、金融機関によって異なります。もちろん、融資までにかかる時間も違います。目安としては、ノンバンク系なら申込みから融資まで3日~1週間ほど、銀行系だと1カ月近くかかると覚えておきましょう。なお、不動産担保ローンを取り扱う金融機関のなかには、迅速な借り入れができるスピード融資を謳うところがあります。しかし、この場合は不動産の評価が正確に行われず、ほかの不動産担保ローンと比べて借入金額や金利が不利になる可能性もあるため気をつけましょう。

    3-3.費用はいくらかかるか

    前述の通り、不動産担保ローンへ借り換えを行うためには、金利のほかに事務手数料や登記費用、審査書類の取得費用、元の借り入れの繰り上げ返済手数料など、さまざまな費用がかかります。また、金利や諸費用の金額は金融機関ごとに異なります。したがって、できるだけ不動産担保ローンにかかる費用を抑えるためには、各社の契約にかかる費用を比較したうえで、最も条件が適したお得なところを選ぶことが大切です。

    なお、諸費用は借入金額に対する割合で設定する金融機関が多いです。そのため、借入金額が多いと費用の負担が大きくなります。もちろん、諸費用を固定しているところもあるため、借入金額が多い場合は固定タイプを選択するのもひとつの方法です。不動産担保ローンへ借り換えるときは金利だけでなく、諸費用までトータルで計算してメリットがあるか判断することが重要です。

    不動産担保ローンを活用して返済の負担を軽減しよう!

    不動産担保ローンは、担保として不動産を提供する必要があります。担保を用意すれば、無担保ローンと比較すると金利が低くなり、借り入れできる金額が多くなる可能性があります。そのため、さまざまなローン商品の借り換え先としても役立つでしょう。今回解説したデメリットには十分注意したうえでうまく活用し、返済の負担を軽減しましょう。

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    ライター紹介

    氏名:
    丸岡日向子
    保有資格:
    FP3級、日商簿記2級、銀行業務検定各種
    主なキャリア:
    地方銀行での勤務、税理士事務所での勤務の後、 フリーランスのライターとして起業。

    不動産担保ローンに関するよくある質問

    ここからは不動産担保ローンについてよくある質問について、その回答と合わせて紹介します。

    不動産担保ローンの金利相場はどのくらい?
    不動産担保ローンの金利相場は金融機関の種類によっても異なります。銀行の不動産担保ローンは、1%~9%程度が相場です。一方、ノンバンクは2%~15%程度です。銀行の方が金利相場は低いですが、審査基準が厳しく、審査に時間を要する傾向があります。ノンバンクは比較的に審査がスムーズに行われる傾向があります。
    不動産担保ローンの審査基準とは?
    不動産担保ローンの審査基準は、一般的に「返済能力があるか」、「担保となる不動産にどのくらいの価値があるか」になります。金融機関としては融資したお金が問題なく返済されるかは重要となります。また、金融機関は担保となる不動産に抵当権を設定します。担保となる不動産の価値に応じて融資金額も決まるため、重要な審査項目となります。
    不動産担保ローンの返済方法は?
    「元利均等返済」と「元金均等返済」の2種類があります。元利均等返済は毎月の返済額が一定となる返済方法で、返済額が一定のため返済計画が立てやすいですが元金均等返済よりも返済総額が多くなります。一方、元金均等返済は毎月の返済額のうち元金の部分が均等となる返済方法で、当初の返済額は多くなりますが返済が進むにつれて減少します。
    不動産担保ローンでお金を借りるまでの流れは?
    まずは申込みをします。申込み後、金融機関で仮審査・本審査を行います。一般的に、本審査にあたり申込書や必要書類(本人確認書類、収入証明書、登記事項証明書や不動産売買契約書など物件に関する書類など)を提出します。審査に通過後、契約を締結し、指定口座に入金がされます。なお、審査結果に応じて本人の借入可能額の上限が決まります。
    不動産担保ローンを利用するには保証人が必要?
    不動産担保ローンは、不動産を担保として提供しているため、一般的には保証人は不要です。ただし、契約者の返済能力や不動産の価値次第では保証人を求められるケースがあります。また、契約者以外が所有する不動産や、契約者と契約者以外が共有名義で所有する不動産を担保として提供する場合は、保証人を求められることが多い傾向です。
    不動産担保ローンの借り入れまでの日数はどのくらい?
    不動産担保ローンの借り入れまでの日数は金融機関によって異なります。一般的に、銀行では2週間~1ヵ月程度、ノンバンクでは数日~1週間程度となります。不動産担保ローンは、他のローンと異なり不動産の価値も評価する必要があるため借り入れまでに日数を要します。

    ライター紹介

    氏名
    丸岡 日向子(まるおか ひなこ)
    主なキャリア
    地方銀行で1年強勤務した後、税理士事務所で1年弱働く。その後、フリーランスのライターとして起業する。 銀行業務検定やFP3級、日商簿記検定2級などの資格で得た知識を最大限に生かしながら、金融系の記事を中心に日々執筆活動に励む。
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