【第73回】リフォームローンの利用の流れとは?審査のポイントを解説
本記事では、リフォームローンを利用する際の流れについて解説します。合わせて、リフォームローンの審査の手順やポイントなどについても紹介するので、参考にしてください。
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1. そもそもリフォームローンとは
リフォームローンとは、自宅の増改築や修繕だけではなく、太陽光発電といった環境に配慮した設備を設置する際にも利用ができるローンです。借入可能額は利用するリフォームローンによって異なり、無担保型のリフォームローンでは1,000万円程度を上限にしているケースが多くみられます。
リフォームの内容によっては数百万円以上の費用がかかるケースもあるため、自己資金でリフォームを行うよりは、リフォームローンを利用する方が、手持ちの資金を一気に減少させる不安がなくなります。
また、リフォームを行っている間にも、リフォーム以外の急な出費が必要になる可能性は十分に考えられますが、リフォームローンを利用することで、急な出費にも対応できるでしょう。
2. リフォームローンを利用する一般的な流れ
一般的なリフォームローンを利用する流れは以下のとおりです。詳細はリフォームローンを提供している金融機関によって異なるので、申込む前に確認するようにしてください。
2-1 インターネットなどで仮審査に申込む
最近ではほとんどの金融機関がインターネットでの申込みに対応しています。ここでの申込みはあくまでも仮審査の申込みだということに注意しておきましょう。
仮審査の申込みは、必要な項目を入力して送信することで終りますが、なかには本人確認書類の提出が必要なところもあるので、事前にどのような書類が必要になるのかを確認しておくとスムーズです。
インターネット以外の方法としては、店舗窓口や電話、FAXでの申込みを受け付けている金融機関もあるので比較検討してみましょう。
仮審査の結果は早ければ即日に回答があります。仮審査に通過したら次は本申込みに移ります。
インターネットでの申込みは比較的仮審査結果が早く分かる点や、いつでも申込める点がメリットです。一方、インターネットでの操作に慣れていない人には抵抗があるかもしれません。さらに、受け付けは24時間365日行っていても、審査は平日にしか行っていないケースもあり、その場合は、翌営業日の回答になります。
インターネットで申込むことで、契約手続きまでインターネットで完結できるところもあります。手軽に申込みたい人にはインターネットでの申込みが向いていますが、窓口でじっくりと相談しながら決めたい人は、店舗窓口での申込みがおすすめです。
2-2 必要書類を用意して本申込みする
仮審査に通過したら次は本申込みを行い、本審査に移行します。本審査を行うにあたり、さまざまな書類の提出が必要になるので、事前に確認し、準備しておきましょう。ここでは申込手続きで用意しておくべき一般的な必要書類を紹介します。
本人確認書類
運転免許証は表面と裏面の両面提出が原則です。また、パスポートを提出する場合は、所持人記入欄のないパスポートは利用できない点に注意しておきましょう。このほか、本人確認書類として利用できるのは、「在留カード(両面)」「顔写真付きの住民基本台帳カード(両面)」「マイナンバーカード(表面のみ)」などです。
所得確認書類
所得確認書類は原則提出が必要なところと、借入金額によって必要になるところがあります。所得確認書類として認められるのは、「源泉徴収票」「住民税決定通知書」「確定申告書」「納税証明書」などです。
資金使途確認書類
リフォームローンはリフォーム資金を借り入れる、目的別ローンの一つであるため、資金使途が確認できる書類の提出が必要になります。具体的には、工事の見積書や契約書などです。
借り換えで利用する場合は、現在借りているローンの返済予定表も用意しましょう。
2-3 契約を結ぶ
本審査に通過したら、契約手続きに移ります。インターネットで契約手続きを行えれば、印紙税が不要になるというメリットがあります。申込みはインターネットで行えても、契約手続きは来店が必要になるケースもあるので、利用の流れは最後まで把握しておきましょう。
契約手続きが完了すれば、融資が実行されます。融資金額は本人の口座に振込まれ、本人が工事業者に支払う方法と、直接工事業者の口座に振込まれる方法があります。
融資が実行された後は、契約内容に基づいて返済が開始される流れが一般的です。
3. リフォームローンにおける審査のポイントを確認しよう
リフォームローンの審査には、いくつかのポイントがあります。審査に通過できるようぜひポイントを押さえておきましょう。
3-1 年収
年収は審査におけるポイントの一つですが、年収が多ければいいというものではありません。多くのローン商品の申込条件に「継続安定した収入があること」が入っているとおり、多少低くても安定した収入が続いている方が審査に通りやすいといわれています。
また、年収に反して希望する借入金額があまりにも高いと、きちんと完済できるのかという返済能力を心配されてしまいます。そのため、年収に見合った借入希望金額を提示することも大切です。
3-2 勤続年数
勤続年数は最低でも1年以上あった方がいいといわれています。勤務年数が短いと、安定した収入を得られているかを判断しにくく、今後も転職を繰り返すのではないかという不安を審査担当者に与える原因にもなります。
勤続年数が1年に満たない人は、就職してから1年以上経過したタイミングでリフォームローンに申込むようにしましょう。
3-3 返済負担率
返済負担率も審査における重要なポイントです。返済負担率とは、年収における年間のローン返済額の割合のことで、ローン返済額には全てのローンが含まれます。そのため、ほかにもローンを利用している場合は、返済負担率が高くなり、金融機関が基準としている返済負担率を超えると、審査に通るのが難しくなります。
3-4 借入時の年齢
一般的なリフォームローンの借入時の年齢上限は、満70歳程度に設定されているところが多くみられます。完済まで問題なく返済できるかという返済能力を重視することからも、ある程度の年収が確保でき、さらに現役世代の間に完済可能な40代前後の方が、審査に有利といえます。
3-5 完済時の年齢
完済時の年齢は、一般的には80歳となっています。完済時の年齢を設定する理由は、リタイア後も返済を続けていける経済力があるかどうかを判断するためです。金融機関によって異なるので、商品概要説明書などで確認しておきましょう。 また、借入時の年齢が高ければ、完済時年齢までの期間が短くなるため毎月の返済額が高くなるというリスクがある点にも注意が必要です。
3-6 健康状態
リフォームローンには、無担保型と有担保型があり、無担保型のリフォームローンを利用する際には、団体信用生命保険への加入を求める金融機関もあります。その際、健康状態によっては団体信用生命保険の加入条件を満たせず、審査に通らない可能性もあります。
また、有担保型のリフォームローンは借入期間が長くなりやすく、健康状態に不安があると、審査に通ることが難しくなるので注意しましょう。
4. リフォームローンの審査に落ちてしまう人の例を紹介
リフォームローンに申込んでも、審査に落ちてしまう人もいます。それは一体どういった理由からなのでしょうか。この理由を知っておくことで、審査に通りやすくなるための対策を取ることもできます。
4-1 安定した収入がない
自営業者や派遣社員、パートやアルバイトなどは安定した収入がないとみなされがちなので注意しましょう。いくらその年の収入が高くても、翌年の仕事や雇用が確保しているとは言い難いからです。
また、病気などによって仕事ができなくなった場合、正社員のような休業給付などが用意されていない点も審査に通りにくい理由です。
安定した収入がない場合は、借入希望額をできるだけ低く抑え、残りのリフォーム資金は自分で準備するなどの対策を考えてみましょう。
4-2 勤続年数が長くない
短期間で転職を繰り返している人は、現在の勤務先もまた近いうちに辞めてしまうのではないかという印象を持たれてしまいます。そうなると、次の就職先が決まるまでの収入がなくなるため、その間の返済はきちんと行ってもらえるかという不安を審査担当者に与える結果となるでしょう。
一般的に勤務年数は1年以上必要といわれてるので、リフォーム工事を待てるのであれば、まず勤務実績を作ってからリフォームローンに申込むことをおすすめします。
4-3 返済負担率が高い
金融機関はローンの審査において独自の返済負担率の基準を設けています。一般的に返済負担率が40%を超えたくらいから、審査に通りにくくなるといわれているので、返済負担率が高いなら、できる範囲で現在借りているローンを返済し、返済負担率を下げる努力をしてみましょう。
4-4 申込内容に虚偽がある
申込内容に虚偽が発覚した場合も審査に通りにくくなります。単なる記載ミスであれば、修正することで事足りますが、審査に通りやすくするための悪意を持った虚偽の記載だと思われた場合には、審査に通ることが難しくなるでしょう。
虚偽の記載は後々必ず発覚することを理解しておき、申込みの際には嘘偽りのない事実を申告するようにしてください。
4-5 信用情報に問題がある
ローンの申込みがあった際には、金融機関は必ず信用情報機関に照会をかけます。その際に申込者の信用情報に延滞などの事故情報が載っていた場合は、審査に通ることは難しいと思ってください。
事故情報は一定期間信用情報機関に登録されるので、それが消えるまでローンの申込みは避けるようにしましょう。また、自分の信用情報について調べてみたい場合は、信用情報機関に「情報の開示」の請求を行うことで自分の信用情報を確認できます。インターネットで簡単に手続きできるので、不安がある場合は一度開示の請求を行ってみることをおすすめします。
5. リフォームローンのおすすめの選び方を紹介
ここからはリフォームローンのおすすめの選び方について紹介します。リフォームローンにはいろいろな種類があるので、その内容を理解し、自分にあったリフォームローンを選ぶための参考にしてください。
5-1 金利の種類で選ぶ
用意されている金利の種類で選ぶ方法もあります。金利には変動金利そして固定金利があり、それぞれに以下のようなメリットそしてデメリットがあります。
5-1-1 変動金利のメリット・デメリット
変動金利は、一般的に固定金利よりも低い金利が設定される点がメリットです。金利は半年に1度見直されますが、返済額に反映されるのは5年ごとです。
金利下降局面で見直されることにより、金利が低くなれば、その分金利負担を抑えることができ、早期に完済することもできます。しかし、金利上昇局面においては、見直しによって適用される金利が高くなるため、利息負担分が大きくなり、その結果返済総額も増える点がデメリットです。
5-1-2 固定金利のメリット・デメリット
ローンを契約し、完済するまで金利が変わらない固定金利の大きなメリットは、将来にわたって返済計画が立てやすいことです。特に、返済期間の間に子どもの教育資金などほかの支出が予定されているなら、固定金利を選択しておく方が安心です。
変動金利よりも金利が高く設定されている点がデメリットですが、余裕のあるときには繰上返済を利用するなど、返済総額をできるだけ少なくするよう努力することも忘れないようにしましょう。
5-2 担保の有無で選ぶ
リフォームローンには、無担保型と有担保型があります。それぞれのメリットとデメリットは以下のとおりです。
5-2-1 無担保型のメリット・デメリット
無担保型のメリットは、万が一返済不能に陥った際でも、担保を失う不安がないことです。また、有担保型と比べると、審査が早い傾向にあります。反面、有担保型のリフォームローンに比べ、金利が高めに設定されている点や、借入可能額が少なめに設定されている点、さらに返済期間が短い点がデメリットです。
リフォーム工事の金額が1,000万円以下なら、無担保型のリフォームローンでも十分対応可能ですが、利用の際には念のため、シミュレーションを行い、最終的な返済総額を確認するようにしてください。
5-2-2 有担保型のメリット・デメリット
有担保型のリフォームローンは、無担保型と比べて低い金利で高額な借り入れができる点がメリットです。また返済期間も長期に設定できるため、余裕を持って返済できます。
ただし、万が一返済不能になった際には、担保を失うリスクを背負うことになる点がデメリットです。無担保型と比べると審査に時間がかかる点や、抵当権設定の手続きが発生することも覚えておきましょう。
5-3 契約方法で選ぶ
契約方法には、申込みから全てインターネットで完結するWeb完結や、店舗窓口に赴いて契約する方法があります。Web完結なら、店舗に出向く時間が省略されるため、時間のない人におすすめです。 申込みはインターネットでできても、契約時には来店が必要な商品もあるので、申込みから契約手続きまでの流れを確認して申込むようにしてください。
5-4 団信に加入できるかどうかで選ぶ
団体信用生命保険とは、契約者に万が一のことがあった際に、保険金でローン残債を返済する保険です。
リフォームローンによって、用意されている団体信用生命保険の種類は異なります。金利の上乗せなしで加入できるものや、金利の上乗せが必要なものもあるので、あらかじめしっかりと比較検討することが大切です。
5-5 返済方法で選ぶ
ローンの返済方法には、元金均等返済と元利均等返済の2種類があります。両方を用意している金融機関もあれば、どちらか一つのみが用意されているケースもあります。
5-5-1 元金均等返済のメリット・デメリット
元金均等返済とは、毎月の返済において元金部分は一定で、その元金の残高に合わせて利息を加えて返済する方法です。そのため、最初の返済額が一番高く、返済が進むにつれ毎月の返済額も少なくなる点が特徴です。
同じ条件の借入額、返済期間、金利であれば、元利均等返済よりも返済総額を少なくできる点はメリットですが、最初の返済額が高い点がデメリットです。
5-5-2 元利均等返済のメリット・デメリット
元利均等返済とは、毎月の返済額が一定で、そのうちの元金部分と利息部分が、返済が進むにつれ変わっていく返済方式です。最初は利息の割合が多く、返済していくにつれ元本の割合が多くなります。
毎月の返済額が決まっているため、返済計画が立てやすい点はメリットですが、元金均等返済と比べ、利息負担が大きく、結果として返済総額が多くなる点がデメリットです。
5-6 繰上返済の手数料で選ぶ
返済中に繰上返済を考えているなら、繰上返済にかかる手数料の有無も確認しておきましょう。ネット経由での繰上返済なら、手数料無料としている金融機関もありますが、一定の条件が設けられている可能性があります。
自分の返済方法と合っているかどうかも合わせ、手数料無料の金融機関を選ぶことをおすすめします。
6. リフォームローンの利用の流れに沿って申込もう
家の増改築や修繕の費用を借り入れるために利用できるリフォームローンは、本文で紹介した流れで利用します。その際には、審査でどのような項目をチェックされるのか、また、不安がある場合の対策についても確認し、対応しておきましょう。
リフォームローンを利用するなら、一括比較サイトを使って、希望の条件に合う商品を探すのもおすすめです。2~3商品程度にしぼり、比較検討して、最終的に自分に合ったリフォームローンを見つける流れだとスムーズです。
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ライター紹介
- 氏名:
- 新井智美
- 保有資格:
- ファイナンシャルプランナー(CFP®)、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員
- 主なキャリア:
- コンサルタントとして個人向け相談(資産運用・保険診断・税金相談・相続対策・家計診断・ローン・住宅購入のアドバイス)を行う他、資産運用など上記相談内容にまつわるセミナー講師(企業向け・サークル、団体向け)を行うと同時に金融メディアへの執筆及び監修も行い、現在年間200本以上の執筆及び監修をこなしている。これまでの執筆及び監修実績 は1,500本以上。
リフォームローンに関するよくある質問
ここからはリフォームローンについてよくある質問について、その回答と合わせて紹介します。
- リフォームローンの金利相場はどのくらい?
- リフォームローンの金利相場は無担保型と有担保型の種類によって金利差があります。無担保型は担保がない分審査基準も厳しく、金利が1%~5%台と高めに設定されているものが多く、借入金額も有担保型と比較すると少額となっています。有担保型の金利は1%~3%程度と低金利で借り入れすることができます。
- リフォームローンの審査基準とは?
- リフォームローンの審査基準は一般的に「年収に対して無理のない返済負担率」であるか、「完済時年齢」、「年収」「他社借入状況」などがあげられます。リフォームローンの審査に落ちる人の傾向として、返済負担率が超過していることや申込書類の不備、他社からの借り入れが多いなどがあるのでローン申込みの前に見直しておくとよいでしょう。
- リフォームローンの返済方法は?
- 元金均等返済と元利均等返済があります。元金均等返済とは元金の返済額は毎月一定ですが、元金と利息の割合が変化するため、ローン残高が始めのうちは多いですが終盤になると少なくなるのが特徴です。元利均等返済は返済額が一定となるため、返済プランを立てやすいものの、元金均等返済と比較すると返済総額が大きくなることがあります。
- リフォームローンのお金を借りるまでの流れは?
- リフォームローンでお金を借りるまでの流れは、①リフォーム業者へ必要費用の確認、②金融機関へローンの申込み、③仮審査、④必要な書類を金融機関に提出し本審査、⑤融資実行となります。担保の有無で提出書類や借入可能額の上限も変わってくるので申込み前に情報収集しておくとよいでしょう。
- リフォームローンを利用するには保証人が必要?
- リフォームローンは原則保証人が不要なローンです。なぜならローン契約時に申込資格として保証会社の保証を受けられる人が対象となることが多いからです。保証会社は契約者が返済不能となったときに弁済する役割があるため金融機関としてはリスクを減らすことができます。
- リフォームローンの借り入れまでの日数はどのくらい?
- 借り入れまでの日数は平均1週間~2週間程度とされています。金融機関の種類や、担保の有無でも融資までの時間は変わってきます。ノンバンクのリフォームローンで無担保型の場合、借り入れまで3日程度なのでスピード優先の方にはよく、銀行系では2週間程度かかりますが、金利が低いため返済総額を抑えたい方には向いているとされています。
ライター紹介
- 氏名
- 新井 智美(あらい ともみ)
- 保有資格
- ファイナンシャルプランナー(CFP®)、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員
- 主なキャリア
- コンサルタントとして個人向け相談(資産運用・保険診断・税金相談・相続対策・家計診断・ローン・住宅購入のアドバイス)を行う他、資産運用など上記相談内容にまつわるセミナー講師(企業向け・サークル、団体向け)を行うと同時に金融メディアへの執筆及び監修も行い、現在年間200本以上の執筆及び監修をこなしている。これまでの執筆及び監修実績 は1,500本以上。
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