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【第62回】学生本人の名義で教育ローンは利用できる?審査条件や借り方を紹介

2022年08月12日
学生本人の名義で教育ローンは利用できる?審査条件や借り方を紹介
大学の進学時などでは、まとまったお金が必要になります。もちろん、学資保険などで準備はしていても、進学先によっては不足することも考えられます。そのため、大学の進学費用を工面する目的で、学生本人の名義で借りられる教育ローンがないかどうかを探す人もめずらしくありません。
本記事では、学生本人でも利用できる教育ローンについて解説するとともに、審査基準や借り方の手順についても紹介します。進学費用について悩んでいる人は、ぜひお役立てください。

1. 学生本人が教育ローンを利用することは可能

学生が教育ローンを利用することについては、不可能な話ではありません。成人年齢の引き下げにより、18歳であっても利用できる教育ローンも存在します。ただし、学生が教育ローンを利用するためには、教育ローンの利用条件を満たし、かつ、審査に通過しなければなりません。

現時点では、一般的に学生本人が教育ローンに申込んだとしても、審査に通過するのは難しいといわれています。それはいったいなぜなのでしょうか。以降で教育ローンの審査基準について解説します。

1-1 大学の教育費はどれくらい?

実際に大学に進学する際の費用はどのくらい必要になるのでしょうか。以下に、自宅・自宅外通学の場合の国立、私立文系、私立理系、私立家政・芸術・体育・保健科、私立医歯系、私立短大の教育費総額について、一覧にしてみましたので参考にしてください。

  自宅通学 自宅外通学
国立(4年) 537.4万円 835.4万円
私立文系(4年) 697.6万円 987.4万円
私立理系(4年) 832.8万円 1,113.6万円
私立家政・芸術・体育・保健科(4年) 786.2万円 1,067.0万円
私立医科歯科系(6年) 2,563.7万円 2,965.3万円
私立短大(2年) 352.5万円 499.9万円

出典:生命保険文化センター「大学生にかかる教育費はどれくらい?」

このように、自宅通学と自宅外通学では下宿代を含む費用の差が発生するとともに、国立か私立か、さらには文系か理系か、医科歯科系かによって教育費の総額には4倍以上の差が生じます。

このような費用を工面するためには、それまでに準備していたお金だけでは足りず、教育ローンを利用して学費などの支払いにあてようと考える人も少なくないでしょう。

2. 教育ローンの審査基準を確認

では、実際に教育ローンを利用しようとした場合の審査基準はどのようになっているのでしょうか。以下に詳しく解説します。

2-1 学生本人に安定した収入がある

まず、利用しようとする学生本人に安定かつ継続した収入があることが、審査に通過する条件です。

教育ローンを提供する金融機関の中には正社員や派遣社員、契約社員でなくても、アルバイトやパートなどで安定した収入があれば申込可能としているところも少なくありません。そのため、数年間同じアルバイトを続け、基準を満たす安定した収入があるならば、申込んで審査に通る可能性もあります。

なお、株やFXなどのほかギャンブルによる収入は、安定した収入とはみなされないことに注意しましょう。

2-2 成人している

ローンの契約を締結するためには、成人していることが一つの要件になります。2022年4月より成年年齢がこれまでの20歳から18歳に引き下げられましたが、金融機関が取り扱うローンについては、依然として20歳以上であることを要件としているところが多く見られます。

とはいえ、必ずしも20歳以上でなければ教育ローンを利用できないということではありません。金融機関が提供する教育ローンの中には申込時年齢が18歳以上であることを要件とするものもあります。

ただし、現行では20歳以上のまま様子を見る金融機関が多いです。18歳以上で教育ローンを利用する場合、選択肢の幅が少なくなる可能性があることを覚えておきましょう。

2-3 親の扶養に入っておらず、仕送りなどをもらっていない

教育ローンの審査に通過するためには、本人に返済能力があるかどうかを認めてもらう必要があります。そのためには教育ローンを申込む学生本人が、経済的に自立していなければなりません。

具体的には、親の扶養に入っておらず、仕送りももらっていない状況にあることが求められます。仮に親の扶養に入っている状態であるならば、教育ローンに申込んだ際、金融機関は「なぜ親の名義で教育ローンを申込まないのだろう」と疑問に思うでしょう。

また、仕送りがあると必ずしも審査に通らないというわけではありませんが、「仕送りがないと生活できない=返済能力に問題あり」と判断される可能性は否定できません。

3. 教育ローンを契約する手順を解説

教育ローンを利用する手順は以下のとおりです。

  1. 申込み:金融機関によって申込方法は異なります。インターネットやFAX、電話、店舗窓口などが用意されています。
  2. 審査実施および結果の通知:申込時に申告した内容に基づき、審査が行われます。同時に信用情報機関に照会をかけ、信用情報に問題がないかを確認します。審査の結果、融資を行っても問題ないと判断した場合、審査に通過した旨の連絡がくるのでそれまで待機しましょう。
  3. 契約:審査に通過した後は、契約手続きに移行します。多くは金融機関の窓口に来店し、対面で行われます。契約の際に必要となる書類は金融機関によって異なりますので、事前に確認のうえ、漏れのないよう準備しておきましょう。
  4. 融資実行:契約手続きが完了すると、融資が実行されます。融資の方法は契約の際に申告した口座に振り込む方法で行われるのが一般的です。融資が実行された後は、返済が開始します。

教育ローンの申込みおよび契約締結の際に必要となる書類の代表的なものは、以下のとおりです。

  • 本人確認書類:運転免許証・パスポート・マイナンバーカードなど
  • 資金使途が分かる書類:教育ローンは目的別ローンの一つです。そのため、教育資金に使ったことが分かる書類を求められます。具体的には学費の領収書や下宿費用の内容が分かる契約書の控えなどが必要です。
  • 収入証明書類:返済能力を確認するための収入証明書類が必要です。源泉徴収票や納税証明書など、金融機関が指定する書類を提出しましょう。
  • 印鑑:契約手続きの際に必要です。あわせて印鑑証明書を求める金融機関もあります。また、契約手続きの際には、融資金額を振り込むための口座情報を提出する必要があります。

ここまで述べた内容はあくまでも一般的な内容です。詳細は各金融機関によって異なりますので、申込時および契約時に確認して準備するようにしてください。

4. おすすめの教育ローン3選

ここからは、学生でも利用できるおすすめの教育ローンを紹介します。教育ローンには、国が行っているものと、民間の金融機関が行っているものがあります。それぞれの特徴や内容を比較し、自分に合った教育ローンを選ぶようにしましょう。

※いずれも2022年6月時点の情報を参考としています。

4-1 国の教育ローン:教育一般貸付(日本政策金融公庫)

日本政策金融公庫が行っている教育費に関する貸付制度です。比較的低金利(固定金利)で長期間借りることができます。所得要件は、扶養している子どもの数によって異なります。例えば扶養している子どもの数が2人であれば、世帯年収の上限額は890万円です。

審査もしくは契約時に本人の来店が必要になることもありますが、来店不要で手続きが完了するケースもあります。

国の教育ローンは、借入金額が比較的少額で、世帯年収が低い人におすすめです。金利も低く、さらにひとり親などに対しては金利の優遇が設けられています。

借入金額 原則として最高350万円
金利 1.8%(固定金利)
担保・保証人 担保:不要、保証人:連帯保証人もしくは(公財)教育資金融資保証基金から選択
申込条件 ・所得要件に該当していること
申込方法 ・インターネット
・郵送
返済期間 最長18年
必要書類 ・借入申込書
・住民票(写し)もしくは住民票記載事項証明書
・運転免許証もしくはパスポート
・源泉徴収票もしくは確定申告書の控え
・預金通帳や領収書など(直近6カ月以上の支払い状況が分かるもの)
(以下、必要に応じて必要となる書類)
・合格を証明できる書類
・在学を確認できる書類
・資金使途を確認できる書類
・自宅外通学を確認できる書類

4-2 民間の教育ローン:77教育ローン(七十七銀行)

仙台市に本店がある七十七銀行が提供する教育ローンです。七十七銀行での住宅ローン利用者や七十七銀行を給与振込口座にしている人に対して、金利の優遇が用意されています。

在学期間に応じて、最長5年の据置期間が設けられているため、無理のない返済計画を立てられます。資金使途は、教育に関する費用全般のみならず、他社の教育ローンの借換え目的にも利用できます。

七十七銀行と取引がある人は金利の優遇を受けられるほか、据置期間が設けられているので、利用を検討するといいでしょう。

借入金額 10万円~500万円
金利 1.8%~3.9% (変動金利)
担保・保証人 不要
申込条件 以下の条件を全て満たす個人
・小学校以上に在学もしくは入学する子どもを持つ保護者、もしくは勤労学生本人
・18歳以上65歳未満、かつ完済時年齢が70歳未満
(ただし、18歳以上20歳未満は店舗申込みに限る)
・勤続年数1年以上(営業年数3年以上)
・前年の税込年収が150万円以上で、引き続き安定した収入がある
・七十七銀行所定の取り扱い基準を満たす
申込方法 ・インターネット
・FAX
・郵送
・店舗窓口
返済期間 最長10年
必要書類 ・健康保険被保険者証
・顔写真付き本人確認書類(運転免許証・パスポートなど)
・所得証明書
・合格通知書、在学通知書
・資金使途が確認できる書類、納付書など
・返済用口座の通帳および届出印

4-3 民間の教育ローン:教育ローン(住信SBIネット銀行)

住信SBIネット銀行では、学費以外にも塾や予備校費用のほか、下宿費用、さらには他社で借入中の教育ローンの借換え資金として利用できる教育ローンを用意しています。ネット銀行ならではのWeb完結サービスや、3カ月以内であれば支払い済みの教育費用も対象となるなど、使い勝手の良さが好評を得ています。

また、住宅ローン利用者やカードローン利用者に対しては金利の優遇も設けられています。

申込みをWebで完結させたい人や、教育費用としての使い道に幅を持たせたい人におすすめです。高額な融資を受けたい人も民間の教育ローンを選ぶとよいでしょう。

借入金額 10万円~1,000万円
金利 1.775%~3.975% (変動金利)
担保・保証人 不要
申込条件 以下の条件を全て満たす個人
・申込時の年齢が満20歳以上、かつ完済時年齢が満70歳未満
・原則として安定かつ継続した収入がある
・外国籍の場合、永住者である
・保証会社の保証を受けられる
・住信SBIネット銀行の代表口座を保有している
申込方法 インターネット
返済期間 最長15年
必要書類 ・学費納付書、振込依頼書など
・学生証、合格通知書など
・教育費用の金額や用途が確認できる資料(パンフレットなど)
・収入証明書類(借入希望金額が100万円超の場合)

5. 奨学金制度を利用する方法もある

学生本人名義で教育ローンを申込むにあたっては、審査に通過すること自体が難しいばかりではなく、審査に通過したとしても借入可能金額が少額になる可能性があります。

日本学生支援機構が取り扱う奨学金ならば、学生本人が借りることが可能です。さらに、返済は学校を卒業し、社会人になってから始まるため、より学業に専念できるというメリットがあります。

5-1 奨学金制度と教育ローンの違い

奨学金は学生本人が契約者となり、毎月の振り込みで給付額が支給され、卒業後に返済する仕組みを取っています。それに対し、教育ローンは保護者が契約者となって一括まとまった金額を借り入れ、その後保護者が返済していく違いがあります。

また、奨学金は進学してから振り込みが開始されるため、進学までの受験料や入学金、前期授業料の資金には対応できません。そのため資金の用途で、奨学金と教育ローンを併用する動きも見られます。

  奨学金制度 教育ローン
申込先 日本学生支援機構など 国または民間の金融機関
契約者 学生本人 保護者
申込条件 世帯収入および本人の学力 世帯収入
借入可能額 奨学金の種類によって異なる 提供する金融機関によって異なる
受取方法 日本学生支援機構より毎月振り込まれる 一括融資
※一部都度借り入れもあり
返済開始 卒業後 借入後

5-2 奨学金には「貸与型」と「給付型」がある

日本学生支援機構が提供する奨学金には、返済が必要な「貸与型奨学金」と返済不要の「給付型奨学金」があります。また、貸与型奨学金も利子の有無により第一種と第二種に分けられています。

5-2-1 貸与型

貸与型奨学金は、卒業後返済の義務がある奨学金です。無利子の第一種貸与奨学金と、有利子の第二種貸与奨学金があり、両方を併用することもできます。

無利子で借りられる第一種貸与奨学金は、有利子の第二種貸与奨学金よりも所得基準が厳しくなっており、所得基準に当てはまらなければ借りることはできません。

貸与型奨学金は、有利子でも比較的低金利で借りられる点がメリットです。一方、卒業後は本人が返済義務を負うほか、滞納すると信用情報機関にその情報が登録されるというデメリットがあります。

選考条件が細かく設定されているため、詳細は日本学生支援機構の公式サイトを確認して申込むようにしてください。

5-2-2 給付型

給付型の奨学金は返済不要のため、利用条件の一つである所得基準が厳しく、原則として住民税非課税世帯が利用できることになっています。ただ、令和2年4月から施行された「高等教育の就学支援制度」により、授業料の減免、そして給付型奨学金の対象が拡大されることになったことは非常に有意義なことだといえるでしょう。

給付型奨学金のメリットは返済不要であるということにつきます。その反面、採用されるための所得基準が厳しく設けられている(下記サイト参照)ほか、給付額も十分とはいえない点がデメリットといえるでしょう。

学生本人の名義でも利用できる教育ローンはある

学生本人の名義で利用できる教育ローンは存在しますが、審査に通過するのは厳しい可能性もあります。教育資金を調達するには奨学金や国の制度も視野に入れつつ、

学生本人の名義で利用できる教育ローンを探す際は、一括比較サイトなどを上手に活用して条件に合うものを探すといいでしょう。

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ライター紹介

氏名:
新井智美
保有資格:
ファイナンシャルプランナー(CFP®)、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員
主なキャリア:
コンサルタントとして個人向け相談(資産運用・保険診断・税金相談・相続対策・家計診断・ローン・住宅購入のアドバイス)を行う他、資産運用など上記相談内容にまつわるセミナー講師(企業向け・サークル、団体向け)を行うと同時に金融メディアへの執筆及び監修も行い、現在年間200本以上の執筆及び監修をこなしている。これまでの執筆及び監修実績 は1,500本以上。
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